今日のネコ写真。その2

今日のネコ写真。2012/12/4

毎日どこかで撮ってきたネコの写真をアップし続けることでブログのアクセス数を上げようと目論んだ僕は企画初日から「ネコがいない」という致命的なアクシデントに見舞われた。
常人ならば一瞬にして心折れるであろう逆境を「その辺の中華料理屋の看板を撮って適当にイジる」という機転で乗り越えたは良いものの、そこには初回のネコの不在を埋めるほどのネコ成分を投入しなければならない、という大きな問題が残った。
しかし、先人は言っている。

「苦難は乗り越えられる者の元にこそ訪れる」

と。
僕は我が身に迫った苦難を受け入れ、これを乗り越えることを天に誓うために空を仰いだ。

雨だった。
空は見渡す限りの曇天、傍の排水溝はガバガバと品の無い音を立てて泥混じりの水を飲み込んでいる。
傘花咲き踊る千葉は、しとどに濡れていた。

「無理やし」

こんなん無理やし。
探索とかできひんし。
ネコとかおっても絶対びしゃびしゃでなんか貧相な感じになってるし。

休憩場の窓から雨降りの空を切ない顔で見上げる僕は、抱き締めてあげたい男子ナンバーワンだったに違いない。
しかし、先人は言っている。

「やまない雨は無い」

と。
いつかあの雲が消え、晴れ上がった空に架かる虹を見上げるネコの写真をブログにアップし、人気者になってイベントの集客やCDの売り上げもウハウハであると。
僕はいつでも外に飛び出せるようiPhoneをギュッと握りしめ、タバコの煙が渦巻く休憩場でむせ込みながらその時を待った。

やまなかった。
正確には、僕が休憩をとっている間は雨が降り続けたのだった。
僕はぐったりとうなだれ、作業員達の「金が無い」だの「パチンコが出なくてムカつく」だのといった話しを背中に聞き流しつつ呻くようにしてiPhoneのカメラを構えた。

023

柿である。
昨日の仕事中に差し入れで頂いたものらしい。
一晩を休憩場で過ごし、すっかり萎びてしまっている。
なんだか見ているだけでこちらも唇がショボショボしてきた。

「誰かその柿食わねえのかよ」

「嫌だよそんなシワシワんなってんの」

作業員達の会話も失敬極まりない。
なんだか気持ちまでショボショボしてきた。

しかし、この程度でめげる僕ではない。
明日は必ずや愛くるしさの権化のようなネコの写真を撮影し、皆様のディスプレイに表示させてみせよう。
それにしても、先人達の言うことも当てにならないものだ。

では。
ショボショボ。