自分が音楽を楽しみたいのなら、お客さんを楽しませることをしてごらん。


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「こんなのですいません」なんて言って、喜んでくれる人って実はいないんですよ。
お客やってると分かるんだけど、お金払って見に行った人が「昨日全然練習できてなくて」なんて言ってたら、やっぱりがっかりするんです。
実際それでいい演奏ができたとしても、それなら堂々としてくれてた方が、見ていて気持ちいいんですよね。

この感覚っていうのは、「お客さんに可愛がってもらいたい」っていう気持ちがちょっとでもあるとね、分からないよね。
たとえば、「昨日全然練習できてなくて」って言って、「練習してなくてそれだけできるのはスゴイ」って言われたいとかね。

かっこ悪いことするなよって。
あんたミュージシャンでしょって。
ミュージシャンは、かっこ良くてナンボなんですよ。

自分を一段下に置いて、「そんな下なのに頑張ってるね」って褒めてもらうためにね。
一段下に行くと褒めてもらいやすくなる気がする。
僕もそうだったから、気持ちはすごく分かります。

だけどね、やっぱり「どんとこい!」って構えてる人の方が、かっこ良いよね。
憧れるなら、「昨日練習してなくて」とか言ってる人より、「今日はお前ら全員幸せにしてやるかんな!」って言ってくれる人の方が、ずっとずっと憧れさせてくれるよね。

で、どうして自分を一段下に置きたくなるのかっていうと、まあ色々あるんだけど、まず「責任」を負いたくないっていうのがある。
「責任」というか、「負担」ですね。

同等か、自分がその場のマスターになることで、他の人たちを楽しませなきゃいけないっていう責任、負担。
これが中々に重いんだよね。
で、その責任と負担と比べたら、「練習してないのにこのくらいなら演奏ができる自分」なら、なんとなーく楽に認めてもらえる気がする。

残念だけど、これが勘違いなんです。
こういうことを言うと、格が下がるんだよね。
まあ自分が下げてるんだから当たり前なんだけど、やっぱり格が低い人のことを、お客さんは好きにならないし、なれないんですよ。

じゃあどうするかって、もう腹くくって責任を負うしかないんだよね。
昨日練習してようがしてまいが、そりゃしてる方がいいんだけど、だけどそれは大した問題じゃなくて。
一番問題なのは、責任逃れをしようとしてることだからね。

ハッキリ言って、下手でもいい。
アイドルとか、目も当てられないくらい歌が下手な人いるでしょ。
だけどお客さんは喜んでる。

何でですかって、アイドルは魅力を売ってるからなんだよね。
アイドルにできて、なんでミュージシャンがしないんだって。
手ぇ抜くなよって。

アイドルだから、顔や衣装がいいのは当たり前なんですよ。
ミュージシャンなんだから、曲や演奏がいいのは当たり前なんですよ。
そこにどれだけの責任を負う覚悟がありますかって。
どれだけの魅力を育ててますかって。

そこが戦う場所なんだよね。

上手く言えてるかどうか分からないけど、本当に、人には、人が喜んだ顔を見ると嬉しいっていう決まりがあるからね。
音楽は楽しんで好きなようにやってればいいんだって人は多いんだけど、聴いてくれてる人が楽しんでくれた方が、やってる方はずっとずっと楽しいんですよ。

お客さんを楽しませることが、結局自分が一番楽しいことなんだって、気づけばいいんだよね。
そしたら、別に上手くなくったっていいんです。
今まで「練習できてなくて」って言ってたところを、「俺にまかせてよ」って言えばいいんですよ。

言葉ひとつで、音楽の伝わり方って変わるんです。
君の曲はいいかもしんないけど、「練習できてなくて」って言うより、「俺にまかせてよ」って言った方が、曲の良さは伝わるんですよ。

本当に簡単だから、試しに使う言葉だけね、変えてみてください。
お客さんの反応が、明らかに変わるからね。

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