部屋が凝った

どうしても集中力が切れてしまったので、気分を変えようと仕事部屋の模様替えをしたのが、昨日の夕方ごろだ。

以前の仕事部屋は6畳の洋室のうち2畳ほどのスペースを、ネットカフェよろしく「居心地の良い引きこもり空間」というコンセプトで切り取ったものだった。

とても気に入っていたのだけど、当初は心地よく感じていたクローズ感が最近になって息苦しくなってきていたものだから、閉じていた空間を解放し、生意気にもスペースを2畳半ほどに拡張したのだ。
 
 
 
僕は部屋の間取りや家具の配置にはとてもこだわる方で、最近は部屋の掃除が趣味ということも相まって、使いやすく管理しやすい自宅オフィスの構築に心血を注いでいる。

これまでもネットや書籍で様々な自宅オフィスの画像を漁り、あれやこれやと試してきた。

そんな中でひとつ、気付いたことがある。

それは「空間の凝り」である。
 
 
 
よく「思い出の品」というものがあるけれど、例えば昔こっぴどく振られた彼女がくれたマフラーとか、まあそういうものってのは、見る度に色々溢れてきて、元気じゃなくなる方向にグッとくるじゃないですか。

で、その「元気じゃなくなる方向にグッとくる」感じが、実はアイテム単品だけはなく、風景や立体的な空間、アイテム同士の組み合わせといったものにも染みついちゃうのだ。

そういう空間が「元気じゃなくなる方向にグッとくる」状態のことを、僕は「空間の凝り」と名付けた。なう。
 
 
 
「空間の凝り」は、そういったことに敏感な人はすぐに分かる。

なんだかイライラするとか、集中力が続かないとか、体調は悪くないのにいまひとつ調子がのらない、といった形で如実に表れるのだ。

そして、モノや汚れによる「モノの凝り」は掃除や整理でほぐせるのに対し、「空間の凝り」はどんなに面をきれいにしてもほぐせない。

だから、モノとモノとの位置関係を変えることを通してそもそもの空間を組み替えることで、つまり、模様替えをして、凝りそのものを分解してしまうのだ。
 
 
 
新しく構築されたわが仕事部屋は実に新鮮である。

同じだけの時間仕事をしていても、疲れ方や進み具合がまるで違う。

そんな現在の間取りも、ひと月ふた月と過ごすうちに、必ず何かが凝ってくる。

だから、「凝る前」に部屋の模様替えをする。

傍目には何をそんな落ち着きのない、と思われるかもしれないけれど、これは僕には必要な儀式なのだ。
 
 
 
そんなことを思いながら模様替えを終わらせ、角度を変えたデスクに向かうと、そこには新しい風景が広がっている。

何かを買うこともないし、余計なものは捨てるから減るし、いいことばかりではないか、うははと内心笑いながらキッチンに目線を向けると、妻が厳しい表情をして家計簿をつけていた。

そろそろ模様替えをした方がいいかもしれない。