【連載】HP・MP理論:①心と体を同時にケアする『HP・MP理論』の3原則

HPとMPってあるでしょう。そうそう、あのRPGとかでキャラクターのステータスに表示されてるやつ。僕はMPの管理が面倒臭かったから、だいたい攻撃力の強いキャラを揃えて脳筋ゴリ押しでゲームを進めるのがクセだったんだけど、まあそれは置いておいて。

ここ最近、特に大変なことをしていないのに疲れ果てたり、結構頑張ったのに余裕しゃくしゃくだったり。自分の認識と、実際感じてる疲れのギャップがあまりに大きくなってきたのです。「そろそろ30代も半ばだしなあ」とか、「まだ若いんだからしっかりしなくては」とか、そういう脳ミソ止まった解釈はしたくなかったので、じっくり観察して仮説を立てて検証をして、ということをひたすらくり返しておりました。

で、見えてきたのがこの体と心を同時にケアするための『HP・MP理論』。まだまだ荒削りなんだけど、少しずつ効果も見えてきました。自分の研究成果として、ここに残しておきます。

HPとMP

手でハートを作るオッサンの画像
そもそも人にはHPとMPの2種類のステータスがあると仮定します。もっと複雑にすることはできるのだろうけど、これくらいシンプルじゃないと実生活に落とし込めないからね。

HPはつまり体力。肉体的な疲労度を現しています。例えば、椅子に座りすぎて背中が痛む、とか、沢山運動をしたからもうクタクタ、とか。

MPは精神力。メンタル的な疲れを現しています。悩みすぎてアタマがしんどい、とか、難しい問題に取り組んでもうクタクタ、とか。

どちらも「疲れた」という言葉が使われるのでややこしいけど、「何が」疲れているのかが大切です。
HPは物理的な「肉体が」疲れているということ。
MPは精神的な「メンタルが」疲れているということ。
そういう前提で、話し進めていきます。

【原則1】睡眠で回復する。それ以外の方法では回復しない

RPG的に言うと、宿屋に泊まるとステータスが回復する、ですね。当たり前のようですが、これが大切。特に後半の、「それ以外の方法では回復しない」というのが、何より重要です。

世の中には、日本ならではのリポD的栄養ドリンクや、南蛮渡来のモンスターエナジー的エナジードリンクが溢れかえっていますが、あれらはHPやMPを回復しているのではありません。あくまで僕の体感覚ですが、HPとMPの表記をバグらせるもの、だと考えられます。HPとMPのステータスバーをモザイクボヤボヤにして、正常な値が分からないようにしてしまうのです。だから本当にHPやMPが尽きている時には、飲んでも何も起こらないのです。栄養ドリンク・エナジードリンクは、「やくそう」ではないのです。

(ちなみに、日本の栄養ドリンクは「肉体疲労に効く」栄養剤なんだけど、海外のエナジードリンクはスポーツ大会のスポンサーになっていることからも分かる通り、「自分のコンディションを上げる」ブースト剤です。疲れた時にエナジードリンクをがぶがぶ飲むというのは、本来の使用方法から逸脱しているのだーということを、ぽろりと記しておきます。)

そもそも、何かエネルギーを物的に補給しなければ動けない、という状況事態が異常なのです。『HP・MP理論』は、エナジードリンクを水代わりに飲んでいた僕が、楽ちん快適に生きるために考え出したオレ理論です。疲れ果てた時にどうするか、ではなく、疲れ果てないためにどうするか、という理論なので、その辺ご承知おきください。

【原則2】活動には、ステータスの減少スピードが早いものと遅いものがある

「自然なペースで30メートル歩く」ことと、「全力で100メートル走る」では、HPの減り方が違います。スポーツ的に言うと、運動強度に差がある、ということですね。当然、「全力で100メートル走る」法が「自然なペースで30メートル歩く」よりも運動強度が高く、HPの減りが早い、ということです。

「パートナーの浮気について思い悩む」ことと、「コンビニで今日のおやつに何を食べようか悩む」こともまた、同様です。そんな言葉はないけれど、無理矢理トーンを合わせると、思考強度が異なります。たいていの場合、「パートナーの浮気について思い悩む」ことの方が、「コンビニで今日のおやつに何を食べようか悩む」よりも、MPの減りは早いでしょう。

このように、人が行う肉体的・精神的活動には、HP・MPを沢山使うものと、使わないものがあります。ありていに言うと、疲れることと、疲れにくいことってあるよね、っちゅーことです。

HPとMPは例外を除いて回復することはありません。だから僕たちが暮らしの中で自分のケアのためにできるアプローチは、HPとMPの使用量を無駄遣いしないことなのです。

世界的車メーカーであるHONDAの本田宗一郎さんは、寝る間を惜しんでエンジンの開発に勤しんだのだそうです。『HP・MP理論』では、本田さんにとってエンジンの開発は、HP・MPの消費が少ない活動だった、という解釈をします。そして、この「HP・MPの消費が少ない活動」が何なのかは人によって違いますし、同じ人でも、その人が立っているステージによって違います。

【原則3】HPとMPは相互に影響し合っている

RPGのHP、MPと大きく異なるポイントです。ゲームの中では、HPが満タンでもMPがゼロ、とか、HPが残り1でもMPは潤沢、とか、そんな状況に度々なります。が、実際の人の体では、HPが大きく減少すると、MPも一緒になって少量減少します。逆に、MPが大きく減少すると、HPも一緒になって少し減るのです。

よくあるのが、スマホやPCで内容を考えながらメッセージのやり取りをしている時。相手の気持ちを考えたり、自分の考えをまとめたりしながら文字を入力していて、気が付いたら背中や肩がバキバキに凝って痛くなっていた、なんてことは、みなさん経験あるんじゃないでしょうか。

悩んだり、思考のエネルギーを使用する時、多くの人は体の体勢を崩します。電車の中でスマホをいじっている人を見ると、頭を斜め下に向かって下げているでしょう?あれです、あれ。頭が前に突き出るので、背中の筋肉が頭を引っ張って支えます。引っ張って支えてくれている筋肉の血流が悪くなって、疲労物質が溜まって、痛みを感じるようになるのです。「考える」「悩む」というメンタル的動作は、「頭を下げる」「背中で支える」という肉体的動作にアクセスするのです。

熱が出たり、仕事や勉強に疲れ果てて体が思うように動かない時、不安な気持ちや自分を責める感情がわき上がってくることが多いのも、同様です。その昔、僕らの祖先が洞窟で暮らしていて、平均年齢が28歳とかだった時代、病気やケガで体が動かなくなるというのは、つまり「死」にダイレクトにつながる事柄でした。肉体的疲労が、精神的不安を喚起して、精神的不安は精神的疲労を積み上げるのです。

自分の人生に対してメンタル的なアプローチで最適化を図る人は多くいますが、メンタル方面からのアプローチだけで人生を豊かにすることは、できません。不可能です。だって僕たちは、人間は、メンタルをフィジカルなのです。肉体に精神を搭載したものなのです。どちらかを置き去りにすることは、絶対にできないのです。

なので『HP・MP理論』では、HPとMP両方のケアを重視します。HPとMPは”ゆるやかな”相互関係なのです。HPをケアすることは、MPをケアすることなのです。MPをケアすることは、HPをケアすることなのです。「どちらか」ではなく「どちらも」ケアすることが、とても大切なのです。

まとめ

ここまでお話ししてきた『HP・MP理論』の原則を整理してみましょう。
 
 
【原則1】睡眠で回復する。それ以外の方法では回復しない
【原則2】活動には、ステータスの減少スピードが早いものと遅いものがある
【原則3】HPとMPは相互に影響し合っている

 
 
でした。各所に「例外」やら「ステージ」やら、思わせぶりな単語をちりばめてしまいましたが、今後の連載の中で言葉にしながら、少しずつ紐解いていきます。お時間のある方は、ぜひお付き合いを。