わが愛しのAm P.24:かまいたちの昼(2018/08/12)

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正義の味方撃退

自由時間が終わって幼稚園の運動上から友だちと戻っている時だった。僕らはロケットのジャングルジムを昇ったり降りたりする遊びに忙しくて、チャイムの音を聞いていたけれど無視して遊び続けていたのだ。とはいえそれほど遅くなったわけでもなくて、まあ学習時間にはぼちぼち遅刻、くらいのタイム感で廊下を歩いていた。

僕はたしか「さくら組」で、さくら組の教室は1階の1番奥で、その教室を目指す僕と友だちの前に、正義の味方のような女の子がばばーんと登場した。けーこちゃんである。「もー時間過ぎてるで!」なんておしゃまな女の子丸出しの台詞を言いながら僕らを迎えに来た彼女は、僕らの正面にまで来たところで足を止めて、目を見開いたあと、悲鳴を上げた。

何がなんだかわからんぞい、と思って周りを見てみると、周りの廊下や友だちの制服に赤いものがいっぱいついている。あれ?誰かケガしてるの?友だち?と思ったあたりで右手の違和感に気付いた。目をやると僕の右手の甲がぱっくり割れていて、何か白いものが見えている。血はそこから流れ出ているようだった。

けーこちゃんの声を聞いて、教室から人が出てきた。先生たちがなんだか騒ぎ出している。そういえば1番近くにいるはずの友だちはびっくりして何も言えなくなっているではないか。あれよあれよというまに僕は大量のタオルで右手をくるまれて、保健室まで運ばれた。そして光の早さで呼ばれたお医者さまが、よく分からないうちに右手をチクチクと縫ってしまったのだった。

点々と未来へ

思い起こせばそれだけのことなのだけど、傷は右手人差し指の付け根から手首の辺りまであって、話しによると指の筋的な骨的なものが見えていたらしい。右手がうまく動かせなくなっていたかもしれなかったそうで、そうしたらギターも弾けなくなっていたから、いやいや危ないところだった。

そういえば、そのケガの原因は、いまだに分からないままである。僕の血の後は園舎の廊下の中にしかなかったから、遊具で切ったわけではない。一緒にいた友だちが隠し持った鋭利な刃物で僕の命を狙っていた、ということも考えづらいから、いよいよ訳が分からない。誰かが「かまいたちみたいなもんだよ」とあっさり言ったけれど、それもなんだかなあ。

とか何とかまあぼんやり考えているフリをしつつ、いやいやでも右手に傷のある男っちゅうのも中々どうしてかっちょいいではないかふふふん、なんて思って暮らしていたら、高校1年生のある日ある時ある人に突然こんなことを言われるのである。
 
 
「君、辻斬りに合ってない?」
 
 
その話しは、まだもうしばらく先っすね。

傷の跡は今でもばっちり残っているのだ


 
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