わが愛しのAm P.66:ダイバシティ意識と個人主義の芽生え(2018/10/26)

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多様性の海へ

高校生になって最も刺激的だったのは、兎にも角にも大勢の人間を目撃するようになったことだった。

ひょうきんなヤツ

暗いヤツ

便所でタバコ吸ってるヤツ

何を考えてるのか分からないヤツ

同じ学年でもまあ色々いた。上の学年を見てみると、スキンヘッドに真っ赤な裏地の学ランを着込んだ見るからに不良なヤツもいる。それまで9年間毎日同じ12.3人の顔だけを見続けてきた僕は、しばらくパラダイムがシフトし続ける毎日だった。

わあわあと身悶えているうちに、なんとなく自分の居場所が分かってきた。学ランは軽く着崩し、髪は染めない。大騒ぎはせず、かといって勉学に傾向することもない。とはいえ、みんな何かしら腹に一物持っていて、自分が打って出る瞬間を虎視眈々と待ち受けている。僕の仲間は、そんな連中ばかりだった。

波動拳が撃ちたくて

僕は空手部に入った。中学3年生の夏には、部活は空手と決めていたのだ。理由はシンプルで、「個人」でいたかったからである。

少年野球から軟式テニスへとクラブが移り変わった時、僕は競技の中で自分の脳内に描かれる世界が大きく広がったのを感じた。テニスはテニスで面白かった。だけど、「誰にも邪魔されない場所で個人競技に打ち込みたい」「自分のイメージの世界を思い切り泳ぎ回りたい」。そんな思いが僕の中で大きく膨らんでいた。

当時世の中は第一次K-1ブーム。それほどテレビを見るということはなかったが、僕はアンディ・フグや角田信明が大好きだった。殴り合いは好きではなかったけれど、ひとりの人間がその技術を淡々と磨いていくことが、とても美しいものに感じられた。何より、カッチョいいじゃない。

そんなわけで、僕は新品の道着に白帯を巻いて、毎日正拳突きをするようになった。先輩に「なんで空手部入ったん?」と聞かれた時は、当時は自分の気持ちを言語化できなかったから、適当に「波動拳が撃てるようになるとおもって」なんて言って誤魔化していたものだった。
 
 
ストリートファイターのリュウが波動拳を撃つ瞬間の画像


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