メロディと歌詞の世界で生きてきたシンガーが踊れるビートを手に入れるには

ゆうさく
ゆうさく
なんだか急に早起きできなくなったから色々実験中なんだけど、結局最後は「もっと早く寝る」に辿り着くんだよなあ

僕が弾き語り教室で教えていた生徒さんの中でも、ぐんぐん技術を伸ばしていく人もいれば、技術の成長はそこそこという人もいました。彼らを見ていて気付いたのは「細かいことに気付いてこだわれる人」は技術を伸ばしていけるのだ、ということ。

割とその辺はその人の人間性にも関わるところなんだけど、やっぱり技術的な成長が早い人や伸び代の大きな人は似たようなアプローチの人が多いです。ということで今回は、生徒さん達から教わった技術の伸ばし方について。

インプットしていないものはアウトプットできない

ある生徒さんの話しです。僕のプレイ動画を見て「先生みたいにギターが弾きたいです!」と申し込んできてくれたカワイイ人なんですが、その人は中々思うように技術が上がらなくて悩んでいました。


具体的には、ユーミンの『真夏の世の夢』の演奏全体の中で、ビートがかっこ良くキープできないという課題がクリアできないと。で、「じゃあ原曲の演奏と聴き比べてみようよ」と提案して一緒に聞いてみたんですが、その人には何が違うのか、分からないんですね。


↑その生徒さんが見てくれた動画。放置してたらめっちゃ視聴回数増えててびっくりした。

その方の課題の原因は、音切りの甘さと、アクセントの弱さの合わせ技でした。たぶん、音楽好きで演奏に心得のある第三者が聴けば一発で分かるんだけど、その方には分からなかった。その方はこれまで「かっこよくビートを決める演奏ってこうなんだ!」という視点でインプットをしていなかったんですな。

人は、自分で気付いて意識的にインプットしたものしか、アウトプットできません。その方にはそもそも「ビート」という概念がなくって、だから音楽を聴くときにも、ビートは聴こえているのに聴こえていないという状態になっておった、ということです。

聴こえていないもんだから、頭の中で再生されない。再生されないから、表現できない。何か違うことは分かるんだけど、その「何か」は自分の中にない概念だから、自分じゃ気付けないんですなあ。

新しい世界にスポットライトを当てよう

例えば、メロディと歌詞の世界に生きてきたシンガーが「よおし、おいらもジャミロ・クワイみたく踊れるビートを手に入れるんだかんね」と決めたとしましょう。

この人がそれまでと同じ練習方法を続けても、たぶん踊れるビートは中々手に入りません。それは、ビートの世界を知らないからです。

それは普通の小学生に因数分解の問題を解かせるようなものです。能力の問題ではなくて、ただ単純に「因数分解の世界を知らない」というだけ。

だから、「ジャミ・ロクワイみたいな踊れるビート」が欲しかったら、「ジャミ・ロクワイみたいな踊れるビート」とは何か?と、その世界を知ることから始めるのが自然な流れですね。

(ちなみに僕は現役高校生の時に因数分解がまるで理解できませんでした。資質とか気質とか誠実さとか、まぁ、いろいろ関わってくるよね。)

パッと聴いてそのエッセンスをコピーできる人はいいんだけど、そうじゃない人。つまり、「ジャミロ・クワイみたいな踊れるビートが欲しいと思いながらも、今までと同じアプローチで歌うことしかできない人」は、

– たくさんのシンガーとジャミロ・クワイを聞き比べて、差分を見つける。

– ジャミロ・クワイのどの要素が自分に「踊れる」と認識させているのか、言語化を試みる。

– 抽出した要素を繰り返し表現しながら、精度を上げていく

ということをするしかなかったりします。新しい世界にスポットライトを当てて、そこに見えたものが手に入るよう、自分の練習プランに盛り込む感じです。

ぐるぐる回って帰って来ても、そこは今までとは違う場所

色々試した結果、新しい世界にどっぷりハマることもあるけれど、元いた場所に戻ってくることがほとんどです。人って自分にないものに憧れるもんね。

でも、それって実はすごいことです。新しい世界に目を向けて、取り組んで、吟味して、その上で元いた世界に帰る。これを繰り返している人の懐の深さと音楽的豊かさを、僕は心からリスペクトします。

「選択」って、人を磨くんだよね。例えそれが音楽っていう一見娯楽でしかないことでも。そんで、磨いて磨いてキラキラに輝きだした人の魅力は、例え当人は同じことをしているだけのつもりでも、滲み出てきちゃうんです。

このことに気付いた時の、「しまった!出遅れた!」っていう焦りの気持ちったらなかったなぁ。

新しい世界を深く理解するには、その世界の住人と友だちになればいい

突然だけど、自己啓発のセミナーに行く人たちの間では、よく「セミナーに行ってしばらくはいいんだけど、一週間もすると元の生活に戻っちゃってる」現象が語られます。

これはとっても自然なことで、セミナーという特別な体験ができる日の日数に対して、これまでと同じ出来事が続く日常の日数の方が圧倒的に多いからです。意思の問題ではなくって、習慣の問題です。もっというと、人ってそういう生き物なんだよね、っていう仕組みの話しです。

さて、これまでメロディと歌詞の世界に生きてきたシンガーの周りには、当然「メロディと歌詞の世界を大切にする日常」があります。シンガー仲間も同じような気質の人が集まるから、実は会話の内容も偏っています。

そんな時、僕ならドラマーの友人を頼ります。あるいは、ファンキーな音楽(ジャミロ・クワイのアシッドジャズというジャンルはプレイヤー自体がかなり少ないから、似たようなサウンドの別ジャンルを選ぶのが吉)をやってるシンガーと仲良くなるのが王道ですね。

そこで仲間になった人たちに「あなたみたいな踊れるビートで歌いたい。どうしたらいいか教えてほしい」って言えば、たいていの人は喜んで教えてくれます。

あとできたら、楽器のプレイヤーとビートについて話しをするのもすっごくおすすめ。特に腕の立つドラマーはシンガーとはまるで違う世界で音楽を創っているので、ビートについて意見を聞いてみると、目鱗ポロポロな話しがいっぱい聞けます。

そうやって自分の身の周りに今追求している世界の住人を増やしていくと、自然と日常会話の内容が変わってきます。そうなるとしめたもので、後は周りの仲間へのリスペクトと素直さを忘れなければ、踊れるビートは手に入ったようなものです。

今日のまとめ

  • インプットされていないものはアウトプットできない
  • 新しい世界にスポットライトを当てよう
  • ぐるぐる回って帰って来ても、そこは今までとは違う場所
  • 新しい世界を深く理解するには、その世界の住人と友だちになればいい

でした。

ご静聴サンキューベイベ!

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