自分を変える「新しい○○」の作り方と運用方法〜僕と妻と命がけのプリン〜

ゆうさく
ゆうさく
実家から届いた柿を切ってみたら中が真っ黒ではわわわわわわと大慌てしたんだけど、「黒あま」っていう品種で甘かったし大きかったし種もなかったからただただ最高でした。

“人はみんな変わりたがる。古い習慣を引きずったまま。”

というのは、アレクサンダー・テクニークの始祖であるF.M.アレクサンダーさんが残した言葉である。一言一句こう言ったというよりは、なんかこれ的なことを言ってたらしいよ、というニュアンスで受け取ってほしい。テキトーでオナシャス。

「小さな頃から大人になるまで同じ楽器を演奏し続けてきているのだけど、動きに窮屈さを感じている人」が時々いる。その理由を紐解いていくと、体が小さかった子どもの頃の感覚のまま・・・つまり当時の動きのプランのまま、体が大きくなった今もその楽器に向き合っていたりするのだ。

例えばサックスやクラリネットのような吹奏楽器なら、塞ぐべき穴に指を運ぶ動きは、指の長さによって変わってくる。指だけでなく、腕の長さが変われば肘の位置も変わる。肘の位置が変わると、体全体の構えも変わるだろう。体全体の構えが変わったそれは、もはや子どもの頃に学んだ姿勢とは別物のはずである。

客観的に聞けば「そりゃそうじゃ」で終わるのだけど、残念ながらその事実に気付けたとしても解消できる人は少ない。なぜか。今の体のサイズにフィットした新しい動きのプランがないからだ。しばらくは窮屈さを感じる動きの中で試行錯誤を繰り返すが、結局かなりの確率で古い動きのプランに帰結することになる。新しいプランが定まっていないから、古いプランが拠り所になってしまうのだ。

新しいプランにフォーカスすれば、古いプランへのフォーカスは勝手に外れる

そもそも僕たちの脳は同時に複数のことが考えられないようにできている。何か色々なことを同時にこなしている時のことを深く思い出してみると、それは複数のことを同時にこなしているのではなく、取り組む対象が短いスパンで切り替わっているだけだと気付くはずだ。

知人に体の緊張度が非常に高い脳性麻痺のあるギター好きな方がいる。彼は「演奏に関係ない右足に力を入れておくと、左手の力が抜けてコードチェンジが楽になる」と教えてくれた。

聞く人の心を大きく包み込む世界観を持った素晴らしいシンガーの友人は、「たくさんのことを考えながら練習するけど、本番ではただ祈る気持ちをいっぱいに広げて歌うの」と言う。

僕は以前妻がとっていたプリンを食べてしまい漏らすかと思うほど怒られたことがあるが、代わりにエクレアを買って納めることでその場を切り抜けたことがある。

僕たちは同時に複数のことが考えられない。それは言い換えれば、「ひとつのことにフォーカスすると、他のことからフォーカスが外れる」ということだ。こんな便利な機能、使わない手はない。

新しいプランを用意して、ひたすらそれにフォーカスしよう。これは体の使い方でも物事の考え方でも人とのコミュニケーションでも、何にでも使える。妻の怒りを鎮められたこともあって、個人的に非常に信頼の厚いスキルだ。

新しいプランが運用できる仕組みを作っておこうか

僕たちが変わろうととして変われない時は、ただ単に新しいプランがないだけなのかもしれない。

あるいは、新しいプランの「たたき台」はあるけれど、詳細が詰められていないということもあり得る。

もしかしたら、新しいプランはあるのに実際にそれを使うべき場になると様々な事情で忘却してしまっているのかもしれない。

いずれにしても対策は明確だ。新しいプランを超具体的に作り、ちょいちょいリマインドして、ていねいに取り組む。これに尽きる。

妻のプリンを食べるとドチャクソ怒られるのだから、妻のプリンを食べなければいい。そのための対策として「妻のプリンを食べないぞ」と思うだけではまるで足りない。それではプランとは言えないのだ。

妻のプリンを食べずに済むためのプランはこうだ。

まず冷蔵庫の中に自分のプリンを置かないようにする。プリンが食べたくなったら、その都度コンビニやスーパーに行って買う。こうすることでまず、冷蔵庫の中には妻のプリンしか置かれない状況が作れる。冷蔵庫の中のプリンは全て妻のものなのだから、自分のプリンと間違えて食べてしまうリスクが回避できる。

ここで手を緩めてはいけない。プリンを食べたい気持ちの溢るるは如何ともし難く激しいのだ。僕が爆発的プリン欲に骨の髄まで支配されてトチ狂い、食せば命に関わると承知してている妻のプリンに手を出してしまう可能性はゼロではない。死刑は衝動的な殺人の予防にならないと、誰かが言っていたではないか。

過ちが起こった際には、直ちに新たなプリンを入荷せねばならない。冷蔵庫に「妻のプリンを食べたら即買い足す」とメモを張り付けておくのがいいだろう。「追加でチョコレートも買う」「状況に応じて塩気も検討する」まであるとなおよい。

言うまでもないが、予め妻の好きなプリン、チョコレート、しょっぱいお菓子の銘柄および傾向を把握しておくことは必要不可欠だ。食感にもうるさいから、普段から近所の店を回って品物をリサーチしておく努力も欠かせない。

ここまで備えるからこそ、いざという時にていねいな行動が取れる。プランを立てるというのは、こういうことを言うのだ。わかったか。ぐすん。