「早起きができない」という問題を24時間の再構築でクリアする的な話し

ゆうさく
ゆうさく
むすっこのほっぺたがもちもちじゃろ?頬ずりするじゃろ?ヨダレまみれじゃろ?そうやって一日が始まるじゃろ?

『問題は部分で起こり、全体で解決される。』

この夏から通い始めたアレクサンダーテクニークの講師育成クラスでは、体の構造や動きのメカニズムの他に人に何かを教える時の技術や心構えなどが多く語られる。そのティーチングのメソッドの中で深く僕の心に刺さったのが、先ほど紹介した一文だ。

この一文に出会った瞬間、ビビッときた。膝を打った。心当たりがありすぎる。当たりすぎてフロントバンパーがベコベコだ。ヒトのフロントバンパーは膝だったのだ。また世界の真理にひとつ近付いてしまった。

さて、問題は〜のくだりは体の使い方を考える場で学んだことだが、それ以外の多くの場面にも転用できる考え方である。心の問題も、時間の使い方も、これで全て解決できるのではないかとさえ思える。知らんけど。

そんなわけでさっそく「早起きができない」という問題を持った人(僕ですね)を例に、「早起きができない」という「部分」を解決するためにどのような「全体」を見つめればいいのかを考えたい。

僕たちの一日、24時間は、独立した箱の並びではない。ドミノ倒しのように、お互いに影響力を持った事象と心象の連続である。その一手目として強烈なパワーを持つと個人的に考えているのが、早起きの習慣だ。

朝イチで既にやりたいことに取り組んできてんだかんね、ワシ。そんな気分で過ごす日中の素晴らしさは、筆舌に尽くしがたい。ぜひ毎日をそのように過ごしたいものだ。

起きる手段をあれこれ講じても効果は薄い

「早起きができない」という問題を部分のまま解決しようとすると、「寝ている自分をなんとかして叩き起こす手段」を模索することになる。これは大変に難しい。寝ている自分は意識がないのだ。脅しても強請っても、意識のない相手には届かない。

意識が覚醒すればそれで済むかというと、そうでもない。起床したあかつきには即座に布団から脱出し、最低限の準備を整えてコトに当たらねばならない。疲れ果てて寝ていた人間が無理やり叩き起こされ、すぐさま行動しようという気力に満ちているという仮定は、事実との齟齬が大きすぎるだろう。

もし寝起きに布団の中でスマホなど見始めてしまえば、計画はあっという間に頓挫する。それに二度寝はめっちゃ気持ちいい。しかもこれから冬に向かってお部屋の気温は下降の一途を辿る。早起きのハードルは高まるばかりだ。

以上の考察から、「早起きができない」問題を起床の手段にフォーカスして解決しようとすることは悪手であることが分かる。じゃあ、どうしよう。

早起きの全体とは、24時間

まず気付きたいのは、生活の中で「起きる時間だけを早める」というアプローチの不自然についてである。これまで朝ギリギリまで眠ることが必要だったということは、日中にそれだけの睡眠が必要なライフスタイルを取っているということだ。

日中の過ごし方を変えずに起床時間だけを変えようというのは、無理。マジ無理。それはちょうど、工場の製品製造プランを変えないまま納期だけを繰り上げようとしているようなものだ。それでうまくいかなければ減俸、あるいは休日返上で働けって、どこのブラック企業だ。

さて、勘の良いあなたならきっともう気付いているだろう。そう、朝起きたい時間に起きられるような新しい日中の過ごし方のプランを作って導入すればいい。それだけの話しなんである。

そのことに気付いたら、後は模倣とトライ&エラーの世界だ。本でもブログでも何でもいいから、早起きに関する情報を集めまくって試しまくる。簡単デス。

「早起き」くらい具体的な課題が見えているなら、やはり本屋がおすすめだ。関連の書籍をざっと見渡し、よげな本を4〜5冊買ってざばっと読む。視点は豊富なほどいいから、選ぶ本に幅を持たせよう。『早起きして解かずにはいられない数式』や『守護霊アラーム』、『Muscle Training in the Moaning〜その大胸筋は朝露にきらめく〜』などがおすすめだ。そんな本ないがな。

偽のタイトルはともかく、複数の視点で情報を集めることが大切なのは本当である。本やブログは書き手の成功体験に基づいて書かれている。そのやり方が書き手の人生では上手くいったのかもしれないが、生まれも育ちも違う全くの別人であるあなたの人生で上手くいくというのは、どう考えても不自然な思い込みである。

ところで、人が「どう考えても」と言うとき、多くの場合その人は大して何も考えていない。考えるという行為は幅広く奥深いのだ。試しに今度誰かが「どう考えても」と言った時は、「どのように考えられたのですか」と聞いてみるといい。大抵の場合は持ってきた一案しか検討していないはずだ。気まずくなった相手に腕ひしぎ十字固めなどをかけられるかもしれないから、普段からサブミッションの練習をしておくといい。

早起きのためにやってること(簡易版)

例え話しとはいえ、早起きする方法は何?と問いかけて「本屋で調べるといいよ」というのはあまりにも投げっぱなしすぎるので、僕が試して上手くいったと感じているノウハウを簡単にシェアしておく。

まず僕が早起きのために最も重要だと思っているのは、「早寝をする」ことである。具体的には「夜22時半に布団に入る」ことだ。

冒頭でお話しした通り、寝ている時は意識がないので意識的に起きるのは不可能だ。わが家では同じ部屋で妻と息子も寝ているから、早朝に大きな音でアラームを鳴らすと間違いなく殴られる。一瞬目が覚めたとしても次の瞬間には気絶、下手をすれば永眠の可能性もある。迂闊なことはできない。もはや朝は自然起床に任せるほかない。

ということで起きる時間をコントロールするのではなく、寝入る時間をコントロールすることにした。起きる時はその瞬間まで意識がないが、寝る時はそれまで意識を持って過ごしている。そちらをコントロールする方が、難易度はずっと低い。

22時半に布団に入るために、いくつかの努力をした。まず、早起きして仕事をしたいと家族に伝え、夜の過ごし方に協力してもらった。僕は家に帰ってからの動きのパターンをすべて決めているから、それに付き合ってもらうようにしているのだ。

次に運動として、そこそこの強度の筋トレと犬の散歩、一駅前からシャキシャキ歩くウォーキングを導入。食事の量を減らしたことも効果があったように感じる。不思議と体重は落ちないんだけど、僕の体、どっかバグってない?

睡眠時間は日によって違うけれど、だいたい6〜7時間で自然に目が覚めるので、5〜6時ごろに動きだすことになる。重い疲れを感じている時はこれが8〜9時間になる。

おおよその起床時間が分かっていれば、そこから逆算して朝の活動のパターンをデザインしておくことができる。息子が起きて騒ぎ出すのがだいたい8時半〜9時ごろなので、それまでに集中して仕事を進める。あるいは、とっとと諦めて回復に努める。その辺の判断は、夜寝る前にしてしまう。

そうそう、言い忘れていたが、僕が一日の中で最も重要度が高いと思っているのが、この「夜22時半に布団に入る」ことである。朝起きた瞬間から、夜の布団を目指して行動を重ねる。そうすることに大きな価値を感じている。それだけ早起きすることは今の僕にとって大切なことなのだ。

朝早く起きるという早朝のある瞬間という「部分」の問題を解決するために、24時間という「全体」を整える。遠回りのようでいて、これが一番の近道のように思える。

あなたが何か問題を感じているとして、それが「部分」だとしたら、「全体」とは何だろう?「全体」をどのように整えることで、「部分」の問題が解決するだろう?そんな視点で今感じている問題を向き合ってみるのは、いいことだと思う。