83歳木に登る。

我が家のみかん畑はとても小さいので、普通のみかん農家のお宅と比べると労働量が10分の1以下である。それでも10分の1なら10分の1の仕事をしなければならないので、ちょくちょく畑に出ている。今日は、みかんの木の剪定であった。

みかんに限らず木というのは、必要以上に枝を伸ばしてはいけない。上に上に伸びた枝が木の下の葉に当たる日光を遮り、結果的に木全体に必要な日光が確保できなくなるんである。一本大きな木が育ってしまうと、その近くの木が日光を確保できなくて弱ってゆく。それを防ぐために、みかん農家のおじさんやおばさんはマメに畑に繰り出し、新しく伸びている枝を切って落とすんである。

みかんを畑に繰り出し、端からきっちょんきっちょんとしていくと、途中で園長のじーちゃんが

 

「あんりゃそももも」

 

と呟いた(じーちゃんは時々宇宙的な何かと交信する)。途端、じーちゃんは枝を掴み足を掛け、何も無い所でも躓く機能を供えた身体をズズズィと木の上に持ち上げた。人知を越えた何かからエネルギーを貰ったのかもしれない。

 

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「じーちゃんまだ動けるんだなぁ」

 

などと思っていると、ひとしきり周りの枝を剪定し終わったじーちゃんが足下を見ながら

 

「ぇあいよぅ」

 

と唸りつつ放屁した。何かの儀式なのかもしれない。注意深く観察していると、どうやら自分で登った分の高さが高過ぎて、降りるのに苦労しているらしかった。降りてきたじーちゃんに

 

「高いとこは僕がやるからね」

 

と声を掛けると、

 

「ふぉいうるあぁ」

 

と言う。もしかしたら僕の中にも人知を越えたパワーが眠っているのかもしれない。そんな期待を寄せいていると、じーちゃんは迷い無く次の木によじ上り、枝を切り、唸り声を上げつつ放屁した。この世には、まだまだ解明されていない謎がたくさんあるのだ。

そろそろ帰ろうかという話しになった。剪定の出来映えと僕の上達ぶりは素晴らしいものであった。じーちゃんが

 

「ほんの1時間くらいで終わるからサンダルでもええろ」

 

と言っていたのに、3時間以上掛かっても全体の半分を終わらせていないとうこと以外は、全く問題ない。今後は何を言われても運動靴で来ようと思う。

ということで、今日はすっかり農家な一日であった。土いじり草いじり木いじりは、夢中になるととても楽しい。そこには音楽の演奏中に感じる興奮の、すぐ側にある安らぎに似た感覚がある。畑の仕事をマスターするにはまだまだ時間がかかるが、それも楽しみながらやっていける気がした。

 

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Information

山本優作ワンマンライブ〜Stand & Fight〜

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■会場
bar yay a ebisu
東京都渋谷区恵比寿1-12-7三恵ビル3階
http://ameblo.jp/keiichi-kukita/
■日時
2014年9月14日(日)
19:00 open
19:30 start
21:30 end
■ゲスト出演
柴田ヒロキ(Vo.Gt)
http://ameblo.jp/shibata-hiroki/
■料金
予約3000円/当日3500円
※どちらも1ドリンクついてます。
※お客様は15名限定とさせて頂きます。
■ご予約は
accr.mail@gmail.com
まで、お名前とご予約人数をご記入の上、ご連絡ください。

 

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藤とハチと秘密結社じーちゃん。

我が家のすぐ近くで藤が花を付けている。初めはほんの小さな範囲でしか見られなかった藤であるが、いつの間にかこれほどの範囲にツルを伸ばしていたのである。既に満開の時期は過ぎ、花は落ちつつあるのだが、それでもなお圧倒的な生命力でもって我が家の春を演出している。

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ぼたぼたに花を付け垂れ下がったその風体から伝わってくる命の重量。

世界を優しく染め上げる春の演出。

そして、すごい音を出して飛び回るクマバチ。

このクマバチがいけない。マジハンパない。巨大な黒と黄色の虫が、ブゥーーーーンと音を立てて常に藤の近くを飛び回っているのである。

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しかもクマバチには非常に高度なホバリング機能が搭載されている。とっとと飛んでいってくれればいいものを、我々の体のすぐ近くに現れてはその場に停滞し、やはりブゥーーーーンという音を立てて謎のアピールをしてくる。

先日、じーちゃん畑仕事を手伝った帰りの畑道でのことだ。いつものように飛び回るクマバチにおっかなびっくり歩いていると、ひときわ大きなブゥゥゥウゥウゥーーーーーンッという音が聞こえてきた。思わず振り返ると、顔の横30センチほどのところで(体感では2センチくらいのように感じられた)3センチはあろうかというクマバチがホバリングを嗜んでいて(体感では3メートルくらいのように感じられた)、「あ、こいつはこんな低音域の音も出してたんだ」というくらい低い音でもって(体感んでは60Hz帯域くらいのように感じられた)こちらを見つめていたのである。

僕は「あ”ぁ”っ」と悲鳴を上げ足を滑らせその場で転倒しズボンの尻を汚す程度で済んだ。並の人間であったなら膀胱に蓄積された尿を全て排出しつつ、これまでの人生を悔いながら気を失っていたことだろう。鉄の精神を持っていてよかった。

バタバタと自宅に逃げ帰り、尻に付いた土をはたいているとじーちゃんが話し掛けてきた。

 

じーちゃん「えらい騒ぎじゃったな。」

僕「恐くなかったけどね。びっくりはしたけどね。」

じーちゃん「ほーりゃおっかないど。」

僕「クマバチね、早くどっかいってくんないかなぁ。」

じーちゃん「・・・ありゃ、クマバチちゃう・・・」

僕「え?」

じーちゃん「どれ、昼食べるど。」

 

じーちゃんは一体何を知っているというのか。

 

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軽トラロードとワンパクじいちゃん。

ここ最近のブログから漂ってくる田舎臭が大変な濃度であるが、事実田舎に住んでいるのだから許して頂きたい。静かで大変に暖かいのだけど、レコーディングなどをしていると猿除けの空砲の音が鳴り響いたり、風が木竹を撫でる音が響いたり、ネコのカイちゃんがエサを寄越せと鳴く声が響いたりと、思いのほか色々と響いている。どんなハードなリフを弾き込んでいても、奴隷を呼びつけるネコ様のお声が入ってしまっては、それはもはや牧歌である。自ずと角も取れてくるというものだ。

カイちゃんは今日も行く

 

そんな日々に、今日は新しい声が響いた。じーちゃんが、寝室の蛍光灯が点かなくなったので、買い物に行くのに付き合えというのである。ちょうど情報を回していて頭の中が沸々と煮立っていた時であったから、僕は喜んでその誘いに乗っかった。

 

じーちゃん「日曜日で電気屋ら閉まっちゃぁるんとちゃうか」

 

知らんがな。

移動中、僕に軽トラの運転を押し付けたじーちゃんが、後方に流れてゆく田畑を見送りながら呟く。こちとら誘い出された身である。ちょうど、おいしいお菓子があるから一緒に来ないかと言われて知らないおじさんに付いていってしまった子供と同じだ。

僕のツッコミが聞こえているのかいないのか、じーちゃんは相変わらず窓の外を眺めて、ほーだとかへーだとかと呟いている。

 

じーちゃん「やっぱい閉まっちゃららよぉ」

 

せやから知らんがな。

クリーム色のシャッターは「誰も通さないんだかんねボカァ」と確固たる決意を持って東電機の店内を外界と切り離していた。横一文字に走った青色のラインと、白いパナソニックのロゴが憎らしい。そしてじーちゃんは軽トラの助手席でふぇーだとはお”お”お”だとか言って唸っている。

 

じーちゃん「ほな、しゃーないから遠回りしてかえろか」

 

何が「ほな」なのか。「しゃーない」の使い方はそれで正しいのか。様々な疑問が脳裏をよぎる。僕には仕事があるのだ。じーちゃんには楽器で遊んでいるだけだとか、パソコンで何かよく分からないことをしているだけに見えるかもしれないが、これは仕事なのである。明日のゴハンが掛かっているのである。そうそう自分の時間を軽く扱う訳にはいかない。僕は酷く憤慨して、じーちゃんに一言言ってやろうと、軽トラの運転席に漂う土の香りのする空気を胸いっぱいに吸い込んだ。

 

じーちゃん「どっかで甘いもんでも食べていのらよぉ」

僕「はぁい!」

 

胸いっぱいの空気が大変に威勢良く飛び出していった。そういうことなら仕方があるまい。戦士には休息も必要である。腹が減っては戦は出来ぬ。甘いものを食べずして自宅に戻ることなど、とても有り得ないことのように感じられた。

ところで、じーちゃんの喋り言葉は可能な限り本人の発声に近いニュアンスで表記してある。地元の方言と本人のロレツによる文体の変化で多少読み辛い部分もあるかと思うが、ご了承願う。なお、「いのらよぉ」の「いぬ」とは、「帰る」という意味の和歌山弁である。

 

じーちゃん「あそこな山登ってこら」

じーちゃん「道せばいんで気ぃつけぇよ」

じーちゃん「ほんにええ景色やさかい、彼女らと来たらええわ」

じーちゃん「軽トラックではムードが無いわなぁw」

じーちゃん「ほれ、ええ景色じゃ」

じーちゃん「道せばいどっ」

 

んもうノリッノリであった。運転に集中していると景色が良いからと見下ろす海を指差し、景色に目をやると道がせばい(狭い)と言って安全運転を要求してくる。どうしていいのか分からず、あーとかおーとか言っているうちに、軽トラは峠を越え山を越え、風車の生えた山頂を左手に見上げながら、和歌山県の海と山の間をぐるりと回った。

山道などを走っていたものだから、喫茶店などあるはずがない。僕たちはぐるりと回ってきた道をもう少しだけ進んで、高速道路の乗り口にあるローソンのイートインに入った。

 

じーちゃん「なんど甘いもん買うてこいよ」

 

席に座り財布を渡してくるじーちゃん。ホットコーヒーが欲しいということだったので、ローソンのマチカフェでホットコーヒーとカフェラテを注文し、ミニシュークリームを買ってじーちゃんの待つイートインに。コーヒーを出してシュークリームを開けると、じーちゃんは店内に響き渡るほどに大きな声でこう言った。

 

じーちゃん「こんなもんら食べたことないわ」

 

そんなことないから。じーちゃん、正月にアホほど食べてたから。カイちゃんモフモフしながらすごい幸せそうだったから。

 

じーちゃん「(もぐもぐ)・・・こりゃあ、シュークリームみたいなもんじゃな!」

 

素晴らしい推理であった。推理の概念一新である。

そんなこんなで僕とじーちゃんの軽トラデートは、シュークリームらしきものを頬張りつつ終了した。

そういえば、一緒に昼食を食べ、畑の溝を掃除し、ドライブをしてテレビを見て・・・僕は今までの人生の中で、一番じーちゃんと触れ合っている。音楽とa.c.c.r.の仕事が周り始めると、またすぐに大阪や東京を飛び回る日が返ってくる。それは僕の使命であり天命であると思っているから、そうならなければならないという思いである。

だから、今受け取れるものと渡せるものは、しっかりと交換しておこうと思う。

ところで、明日は蛍光灯を買いに行くんですかね?

写真 2014-01-15 15 45 59

カイちゃん「んなぁ」

じーちゃん「なんよぉ」

 

話聞いてください。