コーチングの個人セッションを受講してくれている方と、「セミナージプシーになっちゃうのってどうしてだろう」ということについて話しをしました。
セミナージプシーって、各地で開催されるセミナーをひたすら回遊し続けている人のことを言います。多くの場合、ひとところに落ち着かず、行動を起こさないから結果もでない、といった、ネガティブな意味とセットで使われます。
ノウハウコレクターも同じようなもので、今持っているノウハウを使って結果を出すことではなく、ノウハウの収集自体が目的になっている人を指して使われる言葉です。こちらもあまりいい意味で使われる言葉ではありません。
で、我々平日の夕方にそんなことを大人2人で大マジメに話していたのですけど、中々面白い着地をしたのでシェアします。新しい何かを求めてさまようあなたの気持ちが、もしかしたら少し楽になるかもしれません。
欠落感が行動のモチベーションになるとしんどくなりがち
ことの始めは、今日の個人セッションの冒頭。題材についてリクエストを聞いた時に
・新しくセミナーやグループワークを受けようか考えてる
・でも、今まで学んだこともあるし、本当に必要?とも感じる
・だけど、その違和感にどう対応したらいいのか分からなくて〜
的な悩みをシェアしてもらいまして。「あ〜それマジ共感〜」的なところから話しが始まりました。
で、過去に「これがしたい!」っていうモチベーションで何か行動を起こした時のことを聞いてみたら、それは「ステキな室内プールのある高校に通いたくて受験勉強を頑張ったんだ」と。
そういう下心いいよねーと一盛り上がりしてから、2人ではたと気付くわけです。次のセミナーに行きたい気持ちと、ステキな室内プールのある学校に通いたかった気分って、だいぶ違うよね、と。
その人がセミナーやグループワークを探すモチベーションって、「私はダメな人」っていう自己否定感。一方室内プールのある学校に通いたかったのは、純粋に「そうしたい」という気持ちだったんですよね。
なるほど、と2人で納得した瞬間に、次の問いがやってきました。「じゃあ、どうしたらええねん」という問いです。
その時自分がどんな「考え」を選ぶかで「気分」が変わって、「気分」が変わると行動のモチベーションが変わる
突然ですが、僕たちは常に「気分」と一緒に生きている生き物です。この「気分」が上がってくると、ポジティブな考えを持ちやすくなります。逆に「気分」が低い時は、脳内をネガティブな考えに支配されがちです。
人生って、連続する「気分」の時間的なグラデーションで出来ています。いい「気分」の時間が長い人生は、いい人生。よくない「気分」の長い人生は、しんどい人生。そういう、かなり単純な構造です。
さてさて、いい「気分」とよくない「気分」。それを分かつのが、その瞬間にどんな「考え」を持っているのか、ということです。
しんどい「気分」につながるしんどい「考え」の人って、天気のいい爽やかな風の吹く公園で、キレイな花と美しい木々に囲まれて、座り心地のいいベンチに腰掛け、木漏れ日の中で視界の隅に落ちてるウンチョスをじっと見ているようなものです。
そして、そんな人がいい人生を歩み始める第一歩は、自分は今ウンチョスを見ているのだと気づくこと。第ニ歩は、意図的に木漏れ日の気持ち良さや、花の美しさ、風の爽やかさに意識をスライドさせるということです。
この方の場合、「私はダメな人」というウンチョスを見続けていたということ。その「考え」がセットされた状態で世の中を見渡すと、ダメな私をなんとかしてくれそうなセミナーやワークショップの情報がたくさん目に入ってきます。
でも、この方は理性的に「これは何かおかしい」と気付いた。だから自然と会話も、「じゃあお花を見るようにすればいいんだ!」という方向に流れていきました。
花を見て、いい「気分」で過ごす時間を増やしていけば、そもそも「ダメな自分をなんとかしてくれそうなセミナーやワークショップ」が必要という発想は出てこない。なんだか、希望が見えてきました。
「気分」がよくなる「考え」に意識をスライドさせるために、「背中を押してくれる根拠」を作ろう
最高にステキな要素がいっぱいの公園で、隅っこに落ちている犬のウンチョスを見つめる。こういう思考回路がオートマチックで起動しちゃう人って、実は結構いるんです。
そういう方は、最初は意思の力を使ってマニュアル的に意識をスライドさせる練習が必要です。いつもと違うことをする時って、だいたいそんなもんですよね。で、その練習をする時にめちゃめちゃ大切なのが、自分が意識をスライドさせることをサポートしてくれる、「背中を押してくれる根拠」を作っておくことです。
意識をスライドさせるってことは、まず最初はウンチョスを見ちゃってるってことです。もちろん嫌な「気分」もちょっと発動しています。その状態からお花や風に意識をスライドさせるには、その嫌な「気分」を振り切るだけの意思力が必要なんですよね。
その意志力を与えてくれるのが、「背中を押してくれる根拠」です。例えば僕の場合、奥さんと喧嘩が始まりそうになってイライラしてくると、意識をスライドさせるために自分にこう言い聞かせます。
「僕はこの人と幸せな毎日を過ごすために結婚したんだから、幸せな毎日につながるには今僕がどうすべきか考えるんだ」
この「僕はこの人と幸せな毎日を過ごす」というのが、僕のパートナーシップ領域における「背中を押してくれる根拠」です。心が乱れた時に立ち戻るセーブポイントです。これができるようになってから、うちの夫婦関係はめちゃめちゃ良くなったんですよ。
そんなわけで、個人セッションの最後はクライアントさんと一緒に「背中を押してくれる根拠」の叩き台を作りました。なんだか自分の中でビシッと繋がるものがあったっぽいので、これからがとっても楽しみです。
今日のまとめ
- 欠落感が行動のモチベーションになるとしんどくなりがち
- その時自分がどんな「考え」を選ぶかで「気分」が変わって、「気分」が変わると行動のモチベーションが変わる
- 「気分」がよくなる「考え」に意識をスライドさせるために、「背中を押してくれる根拠」を作ろう
これ的な悩みって、どこかに魔法のような答えが転がってるように感じるんだけど、実は人それぞれ中身が違ったりするんですよね。そういうことひとつひとつと一緒に取り組めるのが、個人セッションの醍醐味です。たーのしーい!
そんなわけで、今日もご静聴ありがとうございました。