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悲しきヒーローの生き様と死に様。

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僕はとんでもなくお腹が弱い。
子供の頃から、山で遊んでいようが授業中だろうが母に叱られていようが、所構わずシクシクと、あるいはズキズキと痛んだものだ。
そしてその体質は今も変わらず、相も変わらず例にも漏れず、所構わず痛みを生じる(彼女様と会っている時などは頭痛も伴う)。

かく言う今も事務所のトイレに腰掛け、果てしなく襲い来る腹痛に耐えつつこの記事を書いている。
それはまるで大空翼が足首の痛みに耐え試合に出場し続けたように、僕もまた、美しく痛みに耐え戦っているのだ。
ヒーローは傷付くものなんである。

あの日もそうだった。
中学校からの帰路、片道僅か15分ほどの間に、僕は耐え難い腹痛に襲われた。
学校に戻ってトイレに行くのは、意地の悪い先輩などに見られると何を言われるか分かったものではない。
バック・トゥー・ザ・トイレット(大)などというあだ名を付けられてしまっては、今後の学生生活に差し障る。

しかし自宅までの道程は果てしなく遠く感じられる。
万が一ここで僕の肛門括約筋が限界を越えたなら、山本家の長男が道端で未曾有のバイオハザードを起こしていたと望まぬ噂が広がってしまう。
それこそ、アンブレラ製薬重役などというあだ名を付けられてしまう。
学生生活どころか、社会生活にも支障をきたしてしまう。

僕は大いに悩んだ。
しかし悩む時間すら惜しい。
人生は足を止めた分だけ確実に遅れてゆくのだ。
幼いなりにそのことを理解していた僕は、足首から下だを動かしてジリジリと自宅を目指した。
学校生活と社会生活を守るには、自宅まで無事に辿り着く以外の選択肢は無い。

僕の実家は大通りから小道に入り込み、200メートルほど進んだところにある。
この小道に入ってしまえば、最悪僕が爆ぜても人目には付かない。
仮に偶然人とすれ違ってしまったなら、それはもはや神の試練である。
山籠りをしていた北斗神拳伝承者に肩でも叩かれたと言って切り抜ける他あるまい。

めくるめく腹痛の波に合わせ牛歩する。
決死の牛歩である。
1ミリでも足を地面から浮かせようものなら着地の衝撃は容赦無くこの身を駆け抜け、腹の奥で静かに覚醒の時を待つ邪悪な神を目覚めさせてしまうだろう。
一瞬の失敗も許されない。

余力を振り絞って小道に入る。
足元に散らばる砂利に細心の注意を払い前進を続けものの、所々にある割れや小さな段差が憎らしい。
いつもならまるで意識することなく突き進む道がこれほどまでに起伏に飛んでいたとは気付かなかった。
これからはこの道を通る度に、

「よぉし良い割れだ。格好いいぞ。ヤムチャとか剣心の頬傷みたいだぞ。なんか最終的には悲しみを背負う気がするかもしれないけど、それはそれで男の子の夢じゃないか。」

「これはたまらん段差だ。僕にはお前が富士の御山よりも高く険しく感じられるぞ。突いてるよ。天、突いちゃってるよ。」

などと言って褒め称えよう。
だからほら、今だけはほら、許してよほら。

つまずくことさえ許されない緊張感の中、僕はやはり牛のようにジリジリと歩を進めた。
隣で見ると、それは夜空の月の如き速度であったろう。
しかし、進まねば爆ぜる。
進んでもいずれ爆ぜる。
それならば、前のめりに倒れたい。
いや爆ぜた上に倒れたらんもうパンティの中がとんでもねぇエクスプロージョンしちゃうから、どうしたって倒れたりとか絶対無理なんだけど。

圧倒的な集中力でもって、僕はいよいよ自宅の玄関に辿り着いた。
しかし、勝負はここからだ。
玄関は決して安住の扉ではない。
そこからトイレまでの数メートル、踏み込んだが最後決して失敗することの許されない、冷徹なる通路の入り口である。

しかし、ここまで来たのだ。
仕事から疲れて帰ってきた両親を玄関前に添えられた長男のフムトタイヘンと対面させるのは、いくら何でも親不孝が過ぎる。
奥歯を食いしばり、いつになく重い扉を開けると、それまで気付かなかった音がして終の廊下が見えた。

靴を脱ぎ、段を登る。
久し振りに股関節を動かしたような感覚だ。
僕が遠い星の戦闘民族であったなら、確実にスーパーサイヤ人になっていただろう。
そんな記録は欲しくはないが、カメラでも仕込まれていたなら、まさに鬼気迫るを体感することのできる絵が撮れていたに違いない。

廊下まで来ると一握の安堵が生まれた。
靴下と廊下である。
それは砂利道をスニーカーで這ってきた僕にとって、この上なく進むに易い環境だ。
最後のエネルギーを振り絞る。
いや振るのも絞るのもマズイんだけど、もう他の言葉を探す余力もないのだ。
肛門周辺だけなら、スーパーサイヤ人3であった自信がある。

辿り着いたトイレ。
既にベルト及びチャックは全開である。
可能な限り直立を保ち、手の届く範疇でパンティを下げる。
射線から外れさえすれば、自分のファイティングスタイルにおける衣類のフィット感などは二の次である。
そんなものは、最初の爆撃を乗り越えてからいくらでも調整すればいい。
僕は目の端で便座が降りていることを確認し、右ケツと左ケツを広げながら身体を落とした。

以降数秒間の描写は、健全なるブログ運営のために差し控えさせて頂く。
花園が広がり、世界が静寂に包まれたのだということだけは伝えておこう。

そんなことを思い出しつつ、僕は戦地からデスクに戻った。
戦いの後には、それを乗り越えた清々しさが残る。
僕は優勝を決めた大空翼のように、爽やかな笑顔を浮かべた。

彼女様「大空翼はケツ出したことないけどな。」

部屋の隅で妖怪のようにポテトチップスを貪る女が、鮮烈な切れ味の悪言でもって袈裟に切りかかってきた。
きっと僕は助からない。
最終的に悲しみを背負うのは男の子の夢である。
でもどうしてだろう、あまり嬉しくない。

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ケツぐらい出してるはずなんだけどなぁ。

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