音楽家は技術職である。例えばギターを弾く人なら、ギターの弦を鳴らす技術、ギターを現場まで運ぶ技術、彼女にバレないように新しいギターを買う技術などが求められる。
しかし一転して、人間職であるという面も持っている。即ち、ギターの弦を鳴らす意思が要り、ギターを現場まで運ぶ決断が要り、彼女にバレないように新しいギターを買う度胸が要るのである。
技術的な面だけを見れば、音楽家になることはまだ容易い。しかし、技術はいつも手段でしかないのだ。例えば新幹線で大阪から東京を目指す時、人は「快適かつ迅速に東京に辿り着く」ことを求めているのであって、新幹線にどのような技術が注がれているのかということは、あまり重要視されない。
これは決して悲しいことではない。技術とは、常に最善の結果を得るための手段であるのだ。技術が生まれるのは、結果を求めればこそである。仮に現役の技術者であっても、そのことを忘れてしまうとベストの技術を生み出すことは難しい。
技術のために結果を生み出そうとするのは滑稽だ。素晴らしい自転車ができたから、これで大阪から東京まで行くべきだと人に押し付けるようなものだ。そんなことをするのは、自転車が好きな人だけである。大半の人は新幹線に乗らないと、午後の会議に間に合わない。
こと音楽において、高い技術力を持つプレイヤーとシンプルなことしか出来ないプレイヤーが共存できるのは、ひとえにこの技術力と人間力のバランスであると言える。
難しいことが出来ても、カッコ良くなければ求められない。簡単なことしか出来なくても、カッコ良ければ求められる。顧客が人間である以上、これは避けては通れない道なのである。
先日のワンマンライブのさなか、僕は自分の楽曲のメロディを見失い、演奏を途中で止めざるを得ない事態に陥った。しかし僕はそこを溢れる人間的魅力で補完、
「あ、あ、あ、お、べ、ベロベロばァ」
などと笑いを誘い、見事別の曲に移行するという神業を披露して見せた。おそらく、人智を超えた魅力的なメロディであったのだろう。今だにその楽曲のメロディが思い出せないのが、何よりの証拠である。
不測の事態や大きな意思が必要になった時、求められるのは技術力ではなく人間力だ。そもそも高度な技術力自体、高い人間力がなければ身に付かないものである。
その技術を生み出した思いと熱意、即ち人間力があれば、今あなたの抱える問題を解きほぐすことは容易い。なぜなら、愛とはまさに人間関係における技術であり、同時に結果でもあるからだ。
相手のことを深く想い、何をすればエネルギーを与えられるのかと試行錯誤し、また何をすればエネルギッシュでいられるのかを試行錯誤するのである。それが理解できれば、僕からできるアドバイスはたったひとつだ。
「その後のチケットの売れ行きが悪くなるから、自分の曲くらいはちゃんと歌えるようになった方がいい。」
「技術」で検索をしたらこんな画像がヒットした。写真を立体にする技術らしい。やたら肉感的になっているのは、技術者の好みだろうか。
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