録って分かる自分の音楽的性癖。

よくライブの最中に

「私は暗い曲が多くて」

というシンガーソングライターが居るが、そういう仕分けをするなら、僕はやはり暗い曲の男である。ここ何年かは明るい曲も書いているし、ライブでも演奏しているが、はやり本質としては喜びの曲よりも悲しみの曲にフィットしている傾向がある。そのことを確信したのは、先日から進めているレコーディングの作業をしている時だ。

今回制作しているミニアルバムは4~5曲ほどの楽曲を詰め込む予定で、昨日2曲目の収録を終えたところだ。それがちょうど、このアルバムのメインとなる明るい曲と、そのカウンター的なポジションになる暗い曲だったのである。レコーディングであるから、当然何度も何度も繰り返しそのテイクを聴くことになる。僕は各個ザックリとしたミキシングの後に2曲のバランスをチェックしようと思い、順番に聴いてみた。

そうしたらんもう暗い方の曲の生き生きしてるっぷりったら。

それはそれは楽しそうに演技をしていて、なんか柄にもなくコーラスなんかも苦労しつつ乗せてみたりして(僕はコーラスが大の苦手)、我が世の春到来的様相を呈しているのである。どんよりとしたメロディーとビートと歌詞の向こうに満面の笑顔が見える。ちょうど、荒廃した世界の空に高笑いする暗黒魔王の顔が浮かんでいる構図に似ている。勇者きちゃうから。討たれちゃうから。

それに引き換え明るい曲の、「ほら、ね?やってるでしょ?ちゃんとさ」という憮然とした態度ったらない。当然収録している時はどちらも同じくらの集中と愛情を注いでいるつもりなのだけど、やはりそこは自分の中の美意識の露骨な部分であって、どうしてもやっていて楽しいところが浮き彫りになるのである。

あと2~3曲。歌詞を調整しながらの収録になるのだが、その辺を踏まえながら、僕らしいアルバムになるように制作を続ける所存である。対極的な2曲を録り終えたから、後はその間の時間的なプロセスを埋めるように作業するだけだ。楽しみにしていて頂きたい。

なおそのプロセスは、決して勇者が暗黒魔王を討伐するプロセスではないから、ご注意頂きたい。

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探してみたら意外となかったから、この画像でお茶を濁す。