金属の意思と人の意思の違いとか振動とか。

最近、金属の表層を流体的に流れている何らかの何某が、明らかに意識を持っているような反応を見せるというニュースを読んだ。それを発見したらしい科学者は、

「あらゆる物質で意志を持っていないものは、ありませんよ。」

と言った。これは実に残酷な宣言である。例えば今僕が座っている椅子の座席部分にも、意志は存在し、それらしい反応を示しているということになるのだ。尻の下に敷かれる人生、いやさ座生とは、さぞ気苦労絶えぬことであろう。椅子達が他人に思えなくなってきた。

ところで金属が意志を持っているという話しだが、これは言葉の通りであって、その限りでない。というのも、人は常々意志と自我を混同するからである。

何が意志で何が自我か、という問答は哲学者に任せる。僕が断言できるのは、少なくとも彼らには自我なるものが存在しない、ということだ。よって、自我に由来する心や感情の機微は生まれようがない。あるがまま、なるがまま、焼かれ溶け繋がり固まり削られて、あるものは土へ、あるものは刃となる、そのままのものである。

そこで、削れ零れた鉄と、形を成し刃となった鉄を「別のモノ」と判断するのが、自我の使命である。

『奇跡の脳』という本がある。脳卒中を起こした脳科学者が発症から奇跡的なカムバックをするまでの体験を、その職ならではの解説を添えて綴ったものだ。今までになかった実話本なので、嗜好のアンテナが揺れた方は是非読んでみて頂きたい。その『奇跡の脳』の冒頭が、大変に興味深いんである。

冒頭、作者は自宅で脳卒中を起こす。幹部は右脳の…ええと、確か、前の方。僕はミュージシャンだから、その辺の解説はしないしできない。ラララ。で、この右脳というのが、いわゆる人間のロジカルな思考を司るんである。

ロジカルな思考、というのは、簡単に言うと分別の思考だ。例えば僕は、僕が家賃を払っている事務所の僕の椅子に座って僕のポテトチップスコンソメ味を食べながらコンソメって飽きるよねなどと言いつつ僕に淹れさせたコーヒーを飲んでいる暴走したエヴァンゲリオン初号機のような女を、自分の彼女であると認識できる(そしたて泣きたくなる)。それはつまり、この存在がイスとは別のもので、テーブルとも別のもので、ポテトチップスコンソメ味とも違えば暴走したエヴァンゲリオン初号期でなもない(自信はない)と認識しているということだ。

右脳を病んだ作者は、大変な頭痛と自意識の遠のきと回帰という波の中、自分とその周りの全ての境目が消えて、万物一体の大変な幸福感に包まれたと述べている。右脳には物事を順序列列に並べるという働きもあるから、時間という概念も失われたともある。

著者の言う様々は、仏教で言う瞑想状態に近い。即ち瞑想とは、人為的に右脳の働きを抑え、感じることに特化した左脳へとハンドルを引き渡す行為であると言える。

ところが、金属にはこの人間的認識の頼みの綱である左脳さえ存在しない。それはただ振動し、その結果流動している。ここから何が分かるかというと、あらゆるものは「振動」で出来ている、ということだ。スピリチュアルな業界では、これを波動と呼ぶ。

話しを冒頭に戻そう。鉄の見せた意志とはつまり、「振動」である。暴言を受け取った鉄は人がその暴言を受けて傷付いたり悲しんだり腹を立てたりして悲しい所作を見せている…のではなく、暴言の波長で共鳴振動しているだけなのだ。

そこには僕たちが思うような認識や感情は存在しない。削れ零れた鉄屑と肉を切り分ける刃先に、握る木の柄と切り分けられた肉に、刃先を受け止めるまな板とあなた自身に、境目はない。それらは極小に突き詰めていくと、全く同じもので出来ている。彼らが認識という機能を持っていないのではなく、彼らが人間という形を取った時、特別不自由な僕らという認識が生まれるんである。

彼らと僕らは、マッチ棒一本と、マッチ棒で作られたタワーのような関係である。いわば、素材と作品だ。よって、同じレベルで語ることはできない。

ただ、これだけは言える。明日あなたが会う誰かは、あなたと同じもので出来ている。件の科学者が証明してくれたように、極小単位の物質は受け取ったものと同じ波長で共鳴する性質を持っている。どうせなら、喜びの振動を分け合いたいものだ。

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金属生命体といえば?そうだね。ARMSだね。

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