人はただただまっすぐ進んでいれば良い、ということはない。紆余曲折があり、思い悩むことがあり、様々な試行錯誤と検証と修正を加えながら、少しずつ歩みを進めてゆくものである。
それは実際の道でも同様である。自宅の玄関から目的地まで一直線、ということは、ほとんどの場合あり得ない。自分と目的地の間には、必ず他の誰かの何かが存在する。道とは、人と人との都合の間をすり抜ける、腕利きのバランサーであるのだ。道は時には緩やかに、時には急激に、それらを躱すために曲がり曲がる。
この「曲がる」という事象は、曲がる側にとっては大変に重要なものである。が、同時に非常に危険な行為でもある。ゆるやかなカーブであれば、さほど問題はあるまい。問題は、急カーブだ。恐れをなして足を止めてしまったり、極端にスピードを落としたりすると、目的地に着くことができなくなったり、大幅に送れてしまったりする。かといってその曲線を甘く見て侵入時のスピードを誤ると、重大な事故に繋がる恐れがある。
エビA「!」
エビB「へへ・・・ヘマ・・・しちまった・・・」
エビA「お前・・・」
エビB「悪い、俺はここまでだ・・・」
エビA「・・・」
エビB「次のピットイン(調理場通過)で、俺は立て直されるだろう」
エビA「・・・」
エビB「だがそれは、もう今までの俺じゃない。自分の足と自分シャリで立っていた、俺じゃあないんだ」
エビA「・・・」
エビB「楽しかったぜ、お前とのレース」
エビA「・・・ああ。」
エビB「さらばだ。」
我々は、カーブを進み抜ける他に生きる術を持たない。そのためには高いバランス能力が求められる。
イン側の壁に突き刺さえる。
アウト側に飛び出す。
遠心力に負けて横転する。
そういった様々な危険を乗り越えながら、人生は続いていくのである。一時たりとも油断ならない。