わが愛しのAm P.56:真夏の怪獣大決戦(2018/09/26)

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海水浴ってかぎ爪と足ビレいるよね?

夏にはよく海に連れて行ってもらった。岩がゴツゴツしたところを慎重に進み、波に叩きつけられながらそろそろと水面に身を沈め、岩の隙間に隠れているウニやアワビやサザエを採るのだ。

誰がどう見ても密漁なのだけど、当時は規制も緩く、こういう海との付き合い方をしている人は結構多かったものだ。何より僕はこれが海水浴だと思って育ってきたから、何もない砂浜でぬるま湯のような海水に浸り友達数名でちゃぷちゃぷすることが一般的な海水浴であると知った時は、それなりに衝撃を受けた。20歳くらいの頃でしたかなあ。

大怪獣タッコングvsちゅわさん

小学校の6年生くらいの頃の夏だったろうな。サザエを一通り採りきってパラソルの下で休んでいたら、20メートルほど沖合で不自然な波が立っていることに気がついた。むむむと目を凝らしてみると、波の向こうに弟のちゅわさんがいる。さらに目を凝らすと、ちゅわさんが巨大なタコに絡みつかれていることが分かった。

「怪獣大決戦やな」

隣でおにぎりを食べていた父が梅干しの種を吐きながら言う。僕はすっかり疲れていて、表情を変えるでもなくぼんやりとしている。海底のやわらかな捕食者とわが弟が再び水面に顔を出し、絡み合いながら白波の向こうに消えていった。その日の夕食はサザエとアワビとタコの塩焼きだった。
 
 
水ダコの画像


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