ポジティブな意味付けと失われたプッチンプリンビッグ。

ありがたいことに、ここ最近ライブでのお客様や共演者の方とライブ前後楽しい時間を過ごせるようになることが増えてきた。何年か前までは何をするにしても苦痛を選んでいたから、どこで何をしていても楽しく感じられること、楽しく感じて頂けることは、本当に嬉しい。

東梅田B-flatさんでのライブ後の集合写真。体に角度を付けて存在感をアピールするイケメン。

ところで先日、面白い話しを聞いた。人は、否定形の言葉を処理できないというのだ。例えば、

「冷蔵庫の中のプッチンプリンを食べないでね」

と言われると、人（主に彼女様）はプッチンプリンを食べる姿をイメージし、それがいけないのだぞう、という意味を後付けする。ところが、一度プッチンプリンを食べるイメージをするものだから、体はプッチンプリンを食べる準備をしてしまうのだそうだ。

そこで大切なことは、肯定的な声の掛け方をすることである。

「そのプッチンプリンはしっかり冷やしておいてね」

そう言われると、我々（主に彼女様以外の人類）は、プッチンプリンが冷蔵庫の中で冷えてゆくイメージができる。その結果、「食べないで」と言われた時よりも確実的にプリンの安全は守られるのである。

であるから、まず人に声を掛ける時は、肯定的な声掛けをするのがよい。そしてもし人から否定的な声の掛けられ方をした時は、それを自分の中で肯定的なイメージに変換することが望ましい。即ち、プッチンプリンを食べるなと言われたら、食べる自分をイメージしてしまったその後にでも、食べないまま日常に帰りその存在を忘却した自分という成功のイメージを上書きするのである。

そういった成功のイメージは、その場その時にポンとパンとできるものではない。僕のような基本がネガティブな人間には、日々のトレーニングが必要だ。

ネガティブな脳内回路が発達している人は、自分には出来ない、どうせどうにもならない、人が悪い環境が悪い何か大きな力が自分だけを貶めるために働いている、という風に考える。そういう習慣が根付いてるのである。これはとても不安で辛いことなのだが、今までに経験が無い（と思っている）から、ポジティブな回路を育てることも不安なのだ。

同じ不安なら、知っている不安の方がいい。

そうして安定した不安を求めて、またネガティブな脳内回路を駆け抜ける。何事にもネガティブな面はあるから、何をしていていも苦痛や否定を選ぶことになる。そういったスパイラルを止める一番のトレーニングは、自分にポジティブに呼び掛けることだ。

「ミスしちゃいけない」→「最後まで楽しくやりきれる」

「社会が悪い」→「自分の選択で社会を良くできる」

「俺は何も出来ない駄目なヤツだ」→「俺は何でもできるスゴイヤツだ」

まるで馬鹿馬鹿しく思えるだろうが、ネガティブな人はこの逆パターンを日々無意識に繰り返しているのだ。無意識の思考回路を修正しようとするのだから、意識的に普段使わない思考回路を育てるのである。信じられないかもしれないけれど、本当にこれでだいたいのことが解決する。100回ネガティブなセルフトークをしたなら、101回のボジティブなセルフトークをするのだ。

何も隠していないし、それ以上のことは無い。自分に前向きに優しく語り掛けることが、全ての基本である。

そんなことを、ゴミ箱の中に打ち捨てられたプッチンプリンの空のカップを見ながら思った。普通のプッチンプリンよりも大きな、ちょっと贅沢なお値段のやつだ。

これで余計な糖分の摂取が控えられ、健康状態が良好なレベルで維持できる。食欲に負けた自分に出会うこともなければ、このプリンを冷やし続ける電力が病院や介護施設のような意義のあるところに回されたと捉えることもできる。

この頬を伝う喪失感は、きっと報われるに違いない。