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キックボード二人乗りの子供達とローラーブレードに絶望した美少年。

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先日駅前を歩いていたら、キックボードに二人乗りで走り回っている子供を見かけた。あの小さなキックボードに人間二人が乗れることにも驚いたが、それ以上に「キックボードに乗れる環境」が新鮮だった。

僕が子供の頃はキックボードなんてものはなく、ローラーブレードなるものが個人のスライド移動を一手に引き受けていた。ローラーブレードはそれまでにあったローラースケートとは違い、プラスチック製のタイヤが縦に4つほど並んだ、スピード重視のギアだ。

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これこれ。



ある年の誕生日、僕はこのローラーブレードをプレゼントしてもらった。黒ベースのカラーに紫のラインが実にカッチョいい。受け取った直後に実家の畳の上で履いて歩いて叱られつつ、


「ふふ・・・これで明日から僕は有田を吹き抜ける一陣の風よ・・・」


などと思い馳せたものだ。

翌日、大急ぎで小学校から帰ってきた僕は、ランドセルも下ろさずに大急ぎでローラーブレードを装着した。よっほよっほと玄関から出て、家の前の道でグッと身構える。その頃コミックボンボンで「ローラーブレード刑事(デカ)」なるものを読んでいたこともあって、僕のブレード魂はそれはもう熱く燃え上がっていたのだった。

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飛行機から飛び降りてもブレードがあれば大丈夫。



体が風を切る感覚を想像しつつ、僕は歩き慣れた和歌山の大地を蹴った。刹那、僕の重心は瞬時にして支えを失い、大地を蹴った勢いそのまま顔面をコンクリィトに叩きつけた。ランドセルの重量がダメージを増加させていたことをよく覚えている。

想像と現実があまりに乖離していたため、僕は痛みよりも疑問に顔を顰めた。その後何度かのトライの後、気付いたのだ。実家の前の道路はコンクリートの表面に大粒の砂利が大量に埋まっていて、ブレードのタイヤが引っかかってしまうのだ。

僕は絶句した。これでは風になるどころか、目の前の田んぼを耕している耕運機にだって追いつけない。大砂利だらけの道路の上を少しでも「シャーッ」とできる場所を求めて、スケート初心者が転ばないように歩くような仕草で動き回った。僕は「シャーッ」がしたいのだ。「シャーッ」ができないのなら、ローラーブレードなど持っていても何の意味もない。

僕は実家をどんどん離れ、ようやく何とか「シャーッ」ができそうな道路を見つけた。それは、母から「ここから先には行ってはいけない」と強く言われていた禁断の道路であった。

僕は失意のどん底に叩き落とされた。ビルから叩き落とされたのならローラーブレードで何とかなったかもしれないが、失意のどん底ではブレーキを掛ける壁もない。

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ビルから落ちてもブレードがあれば大丈夫。



僕はトボトボと、もといガチャガチャとタイヤの付いた足で歩いて帰ってくると静かにブレードを脱ぎ捨て、昨日浮かれた畳の上に半ベソをかいて突っ伏した。夜に帰ってきた父と母に僕を襲った悲劇を怒り半分に伝えたところ、大笑いされたのを鮮明に覚えている。

後日、僕は両親が休みの日に和歌山市内のアウトドアスポーツが出来る的エリアに連れて行ってもらったのだが、その時には弟のラジコンの方が気になる程度に、僕のブレード魂は沈静化していた。

キックボードに二人乗りをして去って行く子供たちの背中を見送りながら、未だ見ぬ我が子も必ずや同じ目に合わせてやろうと、心に誓った。

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