知的労働者の憂鬱


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かねてより中々信じてもらえていないのだが、僕はミュージシャンである。
さらにさらに信じてもらえていないが、僕は知的労働者でもある。

知的労働の何たるかを理解できる者は少ない。
僕自身もよく分かっていないくらいだ。

しかし少なくとも自分自身の経験から、知的労働が肉体的労働に比べて精神的負荷の大きいものであることは分かっている。
工事現場で室内清掃の仕事をしていた時は適当にサボっていれば同じ仕事をしている仲間が進めてくれていたのだが、最近では自分が仕事を進めなければ仕事が進まないという危機的状況が常であるからだ。
具体的には、自分が曲を書かなければ曲が増えず、自分が練習をしなければ腕が上がらず、自分が記事を書かなければブログが更新されない。
自分の置かれた厳しい状況に目眩がする。

知的労働者は孤独である。
孤独故に抱える苦悩を理解してもらえることが無い。
先日も彼女様に「ブログを書かないでいたらページが更新されなくなった」と愚痴をこぼしたら、何も言わずに横っ面をはたかれたところだ。

もはや僕の苦悩を癒やしてくれる存在はモモンガのきゃす子さんだけである。
増築工事を経て広くなったゲージの中でモリモリとブルーベリーを食らうきゃす子さんに相対し、胸の内を明かした。
きゃす子さんは暫く黙って聞いていてくれたが、そのうちブルーベリーを食べ終わるとゲージの中をバンバンと飛び回り、「もっとブルーベリーをよこせ」と目で訴えた後つい最近新設したばかりの止まり木の上で放尿してココナッツハウスの中に帰っていった。

モモンガにさえ見放された僕はすっかり意気消沈して、ひとつの重大なる決意をした。

「ブログを書こう」

そもそも、これが出来れば問題は起こらないのだ。
現代インターネット史に残る大ヒット記事を書けば、それで事は全て丸く収まるんである。

僕はMacBookの電源を立ち上げ、ブラウザを開いた。
そしてYouTubeを開き、仮面ライダードライブの動画を見てから水曜どうでしょうの動画をチェックした。

気が付くともう寝なければならない時間だった。
ここのところ朝起きられない日々が続いているので、夜更かしをする訳にはいかない。
大泉氏のボヤキに後ろ髪を引かれながらブラウザを閉じて布団に潜り込むと、今日のブログが更新されていないことが気付かれた。
知的労働者の苦悩は、実に根深い。