こんにちは。
S&Yギター弾き語り教室の山本ゆうさくです。
今回の記事では、アコースティックギターのストロークをもっと上手くなりたい、きれいな音でストロークできるようになりたい、という方向けに
バランスの取れた美しいサウンドのストロークができるようになるための方法
をご紹介します。
あと全然関係ないんだけど、今朝2歳になったばかりの息子が「たぁい!」というかけ声と共にヨーグルトを投げつけてきました。すごくいい笑顔でした。
全ての弦とピックを垂直に出会わせてあげる
アコースティックギターの弦は鉄でできています。対してピックの素材はセルロイドやナイロンなど色々ですが、どの素材でも鉄の弦を弾くために、そこそこの硬度を備えています。
鉄の弦と硬いピックが出会う時に角度があるとどうなるか…そう、硬いモノ同士が擦れる「シャキッ」という、あの耳障りなノイズが鳴るのです。
特にアコギの6〜4弦は「巻き弦」と呼ばれる、芯の周りにさらに細い鉄の糸が巻き付けられた構造をしています。そこにピックが斜めに入った時のノイズぶりたるや、目も当てられません。
じゃあどうすればいいのか。全ての弦とピックが垂直に出会うようにピックをコントロールしてあげればいいんです。
まずは目視で確認してあげましょう。自分がピックで弦を弾く時、一本一本の弦とピックが垂直に出会っているでしょうか。腕の動きやピックの向きもそうですが、ギターの高さやヘッドの角度でも変化があるはずです。
そうやって目視確認をしつつ、腕を動かす体感覚や音を観察して「弦とピックが垂直に出会っている時の感覚」を自分に覚えさてていきます。最終的に手元を見なくても体感覚と音で答え合わせができるようになれば、グッドです。
全ての弦とピックが一定の力で出会うようにする
美しいサウンドの条件として無視できない要素のひとつに「バランスが取れている」ことがあります。
例えばスマートフォンや安物のPCのスピーカーで音楽を聴いていると、高音ばかりが強くて耳がキンキンしてくることがあります。逆にコンポの設定で低音を強調しすぎると、サウンドがモコモコとして音楽全体がぼやけます。
こういった現象はバンドやオーケストラのような大きくて壮大な機構の中だけで起こるものではありません。あなたが抱えるギターという木工細工に張られた、たった6本の弦の中でも、近い現象が起こっているのです。
ほとんどの駆け出しギター弾きは、ピックの弦に対するタッチが強すぎるという問題を抱えています。タッチが強すぎるとそもそものピックコントロールが甘くなったり、低音弦に当たったピックが跳ねて高音弦を空振るといったことも起こります。
楽曲そのものやアレンジの方向性によって「鳴るべき弦」は変わりますが、ともあれ重要なのは、鳴るべき全ての弦がバランス良く鳴っていることです。
鳴るべき全ての弦がバランス良く鳴っている状態を作るには、弦とピックが出会う時の力加減をコントロールすることが重要です。この場合のコントロールというのは、ほとんどのケースで「脱力」を求めるものです。その助けになるのが、
・ピックを柔らかく持つこと
・柔らかい(薄い)ピックを使うこと
です。
特に薄いピックは手指のコントロールが甘くても音量バランスが整いやすいので、駆け出しの方にもオススメ。ちなみに、薄いピックはめちゃめちゃ割れやすいので、もし気に入ったなら5枚くらいはストックしておくようにしましょうね。僕は素人だった頃、1日で3枚以上の薄ピックを割ったことがあります。ぐすん。
ストロークする弦の音をひとつの音にまとめるよう意識する
ここまで弦とピックが出会う「角度」と「力」についてお話しをしてきました。最後の要素は「スピード」です。
ギターという楽器は、普通に構えると一番上に6弦、一番下に1弦が張られています。今自分のギターに定規を当てて測ってみたら、6弦と1弦の距離は4,75センチメートルでした。
6弦と1弦の間に距離があるということは、ギターをダウンストロークした時…つまり、弦を上から下に弾き下ろした時、ピックが6弦をはじくタイミングと、1弦をはじくタイミングには、僅かなズレが生まれることになります。
このズレが小さければ小さいほどストロークのサウンドがまとまり、リズムやビートが際立ちます。意識している人は少ないけれど、弾き語りにおけるアコースティックギターはリズム楽器としての要素を強く持っているのです。
ストロークのサウンドをまとめるには、ピックが6つの弦を駆け抜けるスピードを上げてあげればいい。そのためには、ピックが弦に対して最短距離を走っていること。そして、弦を揺らすには十分な、かつ弦に引っかからない程度には弱いタッチで、ピックが弦と出会っていることが重要です。
「角度」と「力」を無視したまま、腕を振る勢いだけでスピードを出そうとしても、アコースティックギターらしい繊細でまとまりのあるパーカッシブなサウンドは生まれません。ここまでお話ししてきた通り、ノイズが入ったり、バランスを欠いた音が出るだけです。
「角度」と「力」が整えば、それだけで「スピード」は自然と上がります。後は腕と手首、指使いでもって、意図的に「スピード」をコントロールしてあげればいいのです。
「どのように弾くか」より先に「どんな音が欲しいのか」を自分に聞いてみよう
今回の記事では「美しいストロークサウンドを出す」というテーマで、主にピックと弦のタッチについてお話ししてきました。
ところで、「美しいサウンド」というのは時と場合で違ってきます。ロックやポップス、フォークといった音楽のジャンルでも変わるでしょうし、ひとつの楽曲の中でも「ここはガリッといきたい」「ここはクリーンな音がほしい」というアレンジ的な変化を付けたい場合も出てきます。
そこに正解はありません。「こうするとこうなる」という能書きはありますが、それはこれからの人生の中で沢山の音楽たちから興奮と感動を受け取りながら、あなたの中に生まれる幸せの文脈に気付いていけばいいのです。
ただひとつ覚えておいて欲しいのは、重要なのは「どのように弾くか」ではなく「どのようなサウンドが欲しいのか」だということ。そして「どのようなサウンドが欲しいのか」が明確になるためには、素敵な音楽をたくさん心に注いでおくことが大切です。
ぜひご自身の「好き」と深く向き合ってみてください。
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それでは、最後まで読んでくださってありがとうございました。また別の場所でお会いしましょう。