怒りのドライブとちゅわさんとまーくん。

8年間暮らした千葉県を離れ、自分の仕事を始める前準備として実家に収まってから2日が経った。千葉と和歌山、一人暮らしと実家暮らしということで何もかも違うのだが、最も大きな違いといえばやはり車の有無である。

僕の実家は最寄り駅まで自転車で50分という大変な好立地にある。歩いていこうと思ったら半日はくだるまい。ムーンウォークなら1日はくだるまい。そんなところであるから、車は家族に1台ではなく、1人1台くらいの所持率なんである。

さらにうちの両親は大の車好きであるから、どうにも色々な理由を付けて車を持とうとする。つまり、「子供たち(僕とか弟とか)が帰ってきた時に乗れる車があった方がいい」という理由で、予備というか、とにかく家族の人数よりも車の方が多くなっているのである。

理由はどうあれ、実家に舞い戻ってきた立場としては自由に乗れる車が1台あるというのは非常にありがたい。弟達も常に実家に居る訳ではないので、ほぼマイカーのようなものである。ということで昨日は、そんなマイカーの搭乗練習を兼ねて役場へ住民票の転入届けを出しに行ってきた。助手席にはぬいぐるみの代わりに、暇そうにモンハンをしていたブラザーちゅわさんを乗せてみる。癒されず、モフモフしても気持ちよくなく、時々放屁する以外は、概ねぬいぐるみのようなもんである。

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偽りのマイカー、ジムニーたん。

まーくん、その嘘。

実は僕は引っ越し準備のドタバタと自分の仕事に追われ、元居た千葉県船橋市の役場に転出届を出すのをすっかり忘れていたのである。今日の夜に東京から夜行バスに乗るのだ、という日に友人であるまーくんの部屋で

「そういえばさぁ・・・」

と彼に相談したところ、まーくんはウィスキーコークですっかり出来上がった赤い顔をヒュンヒュン揺らしながら、

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「大丈夫だよ、全く問題ない」

と言い切った。根底にある軽薄さは重々承知であったのだが、ここまで言い切られてしまうと、友人として彼を信用しない訳にはいかなかった。

役場のお姉さん「転出届けがないと、転入の処理ができないんですよ。」

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「大丈夫だよ、全く問題ない。」

そんなこんなで、ジムニーたんは役場からほど近いスーパーを目指した。今僕に出来ることは、酔っぱらった挙げ句虚偽の情報をリークしてきた友人に呪いの言葉を囁くことではなく、郵送で転出届の書類を送ってもらう段取りをこなすことである。だってさ、手続きを忘れてたのは僕なんだし、はぉらまーくん、僕怒ってないよ、ほぉら。

ドライヴの果てに。

スーパーで茶封筒を買い、免許証のコピーを撮って一度帰宅。必要な書類に必要なことを書き込み、船橋市役所に電話確認を取りつつコンビニで切符の購入と投函を済ませた。どうにもこういった役所関係の事務手続きは無駄が多くていけない。免許証の裏には前住所が記載されているし、電話一本でその実在の確認も取れるのだから、どうにかその場で処理できるようにならないものか。

そう憤慨しつつハンドルを握るとつい運転が荒くなってしまうようで、再び助手席に押し込められたブラザーちゅわさんがわーだとかぎゃーだとかあまり聞いたことのない音を出している。あまりにうるさいので両の鼻にワサビを一本ずつ投入するぞと恐喝すると、彼は目を閉じて車内の凹凸にしがみつき体を強ばらせるという完全防御態勢を取った。

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ちゅわさん「疲れました」

さながらトドの如き様相を呈するちゅわさんを見下ろしながら、やはりまーくんは悪いヤツだと、僕は思いを新たにした。