美人とは何か

美しい人と書いて美人と読む。

一般的には容姿が美しい女性を美人と呼ぶかもしれないが、「美人」の文字をよく読むと、人物を構成するどの要素の美醜を評価するのかは限定されていないことに気付く。
また、「美しい」という言葉は姿形が目に見えるものだけでなく、あらゆる物事(「動作」「音」「論理構造」など)に対して使用可能である。

「人」の文字が使われていることにも注目したい。
美人とはあくまで人間を評価する言葉である(性別の指定はない)。
よって、地中深くより発掘された幾何学構造を持つ鉱石を美しいと表現しても、美人であるとは言わないだろう。

ところが、それがまかり通る表現の技法がある。
擬人化である。
例えば、毛並みが良くスッと軽やかな所作で佇むメスの猫のことを指して、「美人」と表現するケースを聞いたことがあるだろう。
擬人化とは、人間以外のモノやコトに人間らしさを見いだし、その一点を拡大解釈して、まるで人間と同等の存在であるかのように評価を与える文法上の技術である。

さて、ここで「美人」という言葉を、「美」と「人」に分解してみよう。
「美」という言葉は、その後に続く「人」という言葉に対する評価である。
そして「人」という言葉には、擬人化法を使うことで人間に限らない様々な要素を内包させることができる。
これらの考察を整理すると、

  • 夫がいかに無能であるかという証拠を幅広い視点から複数提示し
  • それらを構造的にまとめ上げることでこれまで被った様々な被害を主張に論理的説得力を付与
  • 反論の余地を塞ぎ、夫が沈黙をした瞬間に素早くそれを「肯定の意思表示である」と主張したのち
  • 商談は成立したと高らかに宣言し(その際、自然な動きで胸ぐらを掴むこともある)
  • 夫の小遣いを減額する

といった、非人道的価値観を持つ破壊的な女にも、「美人」という評価を下すことは全く違和感のないことであるといえる。

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ところで話しはまったくすっかり360度変わるのだけど、ぼくのおくさんはものすごいびじんです。

※写真の女性は本編とも僕の人生とも一切関係ありません。
ちょっとぐらい関係あればいいのに。