先日僕が心から愛するアレクサンダー・テクニーク(自分の身体を本来のデザイン通りに使おうじゃないかというボディワーク)のレッスンの中で、お師匠がこんな言葉をくれた。
「自分の体にできないことをやれって言うと、体は健気にもそれに答えようとしてくれるのね。すると無理が出て、動きの質が落ちたり、痛みが出たりするんです。」
その時はやっだもうお師匠素敵ってウットリしていたのだけど、今日ふと気付いた。これ、心の方にも同じことが言える。
よくあるのが、「この人変わってくれないかな」という思い。無理でしょう、これ。
自分がいくら思ったって、どんなに言葉を尽くしたって、人が変わるかどうかの主導権はその人が握っていることで。しかも仮にその人が「変わる」ことを選んだとしても、「どう変わるか」までコントロールしようってのは、どうしたって無理がある。
つまり、誰かに自分が思った通りに動いて欲しいと願うことそのものが、自分の心にはできない、実現不可能なこと。でもそれを願い続ける限り、心が脳や身体に働きかけ続けるから、ちょっとした思考や仕草に影響が出る。
そういうちょっとした思考や仕草って、たいていの場合見事に感じ取られるから、相手はいよいよ自分を変えようととする僕たちの意図に対して、防御的な反応をする。つまり、意地でも変わるものかと反抗したり、逆に僕たちの思いに応えようとしながら自分の人生や喜びを削り落としていく。
ねえちょっとこれ超面白くない?
自分にできないことをしようとすると、身体も心もそれに応えようとしてくれるのよ。でも、無理だから、できないから、どこかで無理が出るのよ。すげくない?
ということはつまり、自分にできないことをしようとし続ける限り、僕ら幸せになれないっぽくない?QOL下がるっぽくない?
じゃあさ、やれることやっとけばよくない?
やりたいことやっとけばよくない?
自分の身体のことも心のこともよく勉強して、身体と心のデザイン通りに自分を動かして。そしたら得意なこととか、好きなことを、スムーズに高いクオリティで実行できるっていうことだよね。
できることをやろう。
できないことはやめよう。
やっぱりシンプルなんだなぁ。