ホリエモンが新しい本を出した。「スマホ人生戦略」という。タイトルだけ見ると、浅いことこの上なく感じる。大丈夫ですか堀江さん。
そういえば彼はスマホの超ヘビーユーザーを公言していたはずだ。ゴルフをしている時にもタクシーに乗っている時にも、一日中スマホを弄っているらしい。
なるほど、と思いつつ、ちょっと検索してみた。ヒットした日経新聞の記事によると、2019年11月時点で、スマホの国内保有率がおよそ8割となっていたそうだ(スマホ所有率8割に、格安スマホも最高水準 民間調査)。
他のみんなが同じように持っている道具を、他のみんなとは違う生き方をしている人がどういう風に使っているのか、とても興味がわいた。
さっそくKindleでポチッてざっと読んだのだけど、一見浅はかなタイトルとは裏腹に、とっても実用的な内容がもりもり書かれていたので、いいなと思ったところをシェアします。
「スマホ人生戦略」は情報の取り扱いに関する本です
この本はスマホの使い方を通して、情報の収集と発信に言及しています。ツールに関する話しもなくはないけど、せいぜいSNSとメルマガ、みんなも知ってるニュースアプリの話し程度。
結局これまでホリエモンが話してきた内容と同じで、メッセージはシンプルだ。「好きなことに関する情報をシャワーのように浴びよ。そして切れよく発信せよ」。
いつも共感性のカケラもない目をして物申してる(ように僕には見える)ホリエモンだけど、こういうメッセージがスコーンと芯を捉えてるから、惹かれちゃうんだよなぁ。
スマホは自分の好きなことに関する情報を浴びまくるための道具
彼は自分の本を読む人がどういう人なのかを当然よく分かっていて。つまりこの本は、ビジネスで成功したいという野心のある人向けに書かれている。
そんな中でホリエモンが自分のファン達に送るメッセージのひとつ目で、中心的なものが、「好きなことに関する情報をシャワーのようび浴びよ」だ。
情報は狩りにいけ
自分が好きなことに関する情報は自分で探して取りに行く。それを彼は「情報を狩りにいく」と表現している。
今デジタルの形で発信されている情報の中で、スマホで受け取れないものはほぼない。だから、スマホで好きなことに関する情報を狩りまくり、浴びまくれ、と言うのだ。
僕はコーチや動画配信、製作などの仕事をしているけれど、それらに関する情報を徹底的にインプットしているかというと、ちょっと怪しい。
本は読んでいるし、世の中のトピックスにも気を配っているけれど、まだ何か新しいプランを立てる時に、自分の判断基準となる知識の軸が甘いと感じることは多い。
やっだいきなり身につまされちゃってるじゃない。
ソーシャルフィルタリングをせよ
これはよく言われてることで、インターネットの情報は玉石混交清濁入り乱れていて、ただ検索にヒットしたからといって正しい情報かどうかが分からないというリスクがある。
そこで重要視されているのが、その筋のプロ。いわゆる識者と呼ばれる人や、質の高い情報を集めて整理してくれる編集者。つまり「信頼できる人」の情報を受け取ることだ。
どこの誰かも分からない人の言っている言葉ではなく、どこの誰であるかが分かっている人の言葉を選んで受け取る。世の中に大量に溢れている情報を、信頼できる人というフィルターを通して受け取る。
これをソーシャルフィルタリングというのだそう。改めて言われてみると、そりゃあ、確かにって納得できるよね。
今の時点でも信頼してる人は何人かいるから、その人たちが信頼してる人は誰だろう、っていう時点で、ネットワークを広げてみよう。
受け取る情報は要約されたもので十分
メディアによっては、情報の内容を冒頭できれいに要約してくれているものも少なくない。そういう要約された情報を大量に取り込もうという。
これ、実はとっても苦手だった。というか、どちらかというと要約する側だったんすよ、僕。
要約するには情報の中身をたっぷり確認しなきゃいけない。要約する人のフィルターが掛かることもめっちゃ知ってる。
だからつい要約部分以下も読んじゃうんだけど、確かに結局、要約の繰り返しになってる記事がほとんどなのよね。
これからはデータを確認したい時以外は、思い切って要約だけで終わってみよう。
スマホは大量に浴びた情報を切れよく発信するための道具
情報は入れたら出さなきゃね。というのは繰り返しになるけれど、この本の読者がビジネス的な成功を求めているという前提のフレーズです。
見つけてもらわないと品物は売れないし、見つけてもらうためには何かを出し続けていかないと話しにならないもんね。
特にホリエモンがいいぞって言ってるのが、Twitter。大量に仕入れた情報を整理して、140文字っていう文字数の中で切れよくまとめる作業がいいと。
そうそう、この「情報をまとめる」という作業の大切さにも、軽く言及していました。情報はアウトプットする時にインプットが完了する。っていうのは有名な話しだけど、それをいしきてきにやっていきましょう、ということね。
スマホは持っている人ごとに違う世界が見えている
これ、ぼんやりとは思っていたけれど、明言されてあぁ〜と腑に落ちたところ。
例えば、あなたが毎日Twitterの投稿を見ているとする。その際、れいわ新選組の山本太郎さんをフォローしているかどうかで、あなたの見えている景色は変わってくるはずだ。
これには、大きな実感を伴って納得した。時々妻のTwitterのタイムラインを見せてもらうのだけど、僕のタイムラインとは流れている情報が全然違うもの。
そこにある情報が違うというのはつまりそのまま、見えている景色が違うということだ。山を見ているのか、海を見ているのか。同じ山でも、学校の裏山か富士山かエベレストか。
スマホから受け取る情報が膨大になるほど、スマホから見える景色によって自分の思想が変わっていく。そのことに自覚的でいようという。もう、刺さるったらない。
同時に、彼はこうも言っている。
スマホとは、そこに見えている景色が実際よりも素晴らしく見えてしまうツールだ。そして、それを見ている自分自身も肯定されやすい。
それと同時に、自分とは思想が異なる人が見ている景色に対しては強い拒絶感を抱き、攻撃的な感情をぶつけやすくもなる。
こうやって思想が分断されていくことで、新しい多様性が生まれることを彼は予想している。違う景色を見ている人たちが同時に、それぞれのやり方で世界を変えていった先に新しい秩序が生まれると。
僕、「遊ぶように生きよう」をコンセプトにコーチングの仕事をしてるけど、人によって「遊び」の内容が全然違うのよ。
でも、それぞれの人が楽しく徹底的に遊んだ先に、新しい秩序があるっていうのは、肌感としてよく分かる。そのことにもう少し、敏感でいようと思う。
スマホの使い方と自分の心を合致させよう
本編の中ではさらっと言われていたのっだけど、この一行がすごく刺さった。
疲れた頭でゲームをしている時。うんざりした気持ちでマンガを読んでいる時。ウッフンな動画を求めてサーフしている時。僕の心と行動は合致していない。
行きたい場所があって、そこへの行き方もなんとなく分かっているのに歩き出すことをしていない時、僕は自分の人生を生きていないと感じる。
自分が求めているものを求める行動をする。シンプルなはずなのに、たったこれだけのことが、むずかしいことがある。
スマホの使い方はそのひとつでしかなくて、生活のあらゆる場面で、心と行動を合致させることが、本当は遊び尽くす人生に繋がっているはずなのよね。
そんなわけで、一見浅いタイトルの本を読んだら、ずいぶん深いところを刺されました。こういうことしてくるから、ホリエモンを嫌いになれないんだよなぁ。
バカみたいに早く読める本です
ホリエモン自身が「本は要点しか読まない」と言っているのだけど、それを体現するように、この本は各項目の冒頭に、見出しと要点が整理されてます。
このページだけパッパパッパ流し読みして、気になったところだけ中身を読むという、本の中で語られているテクニックをいきなり実践できるのが楽しい。さすがやで。
そんなわけで、たぶん本を読みなれている人なら20分くらいで読めちゃうと思う。そのクセ深い内容もちりばめられているので、じっくり読むに耐える項目もちょいちょいある。
楽しい本でした。情報、狩るぞう。