今朝だか昨日だか届いたGunosyメールに、メスが生殖器をオスに挿入して精子を受け取る虫が発見された、という記事があった。メスがオスになる生物やオスとメスという概念を持たない生き物は何種類かあるのだが、オスとメスの生殖行動の関係性が逆転しているケースは他に類を見ない。生物大好き系ミュージシャンの僕としては、実に興味深い案件である。
記事は、そもそもどうして世の生物が一夫多妻制を取っているのかという件に言及している。それは簡単に言うと、どのような種においてもメスが作る卵子細胞が精子細胞に比べて遥かに大きく、生み出すために長い時間が掛かるため、大きなリスクを抱えているから、とあった。
つまり、メスの方が時間も体力も使うから、自然とメスがオスを選ぶ、という図式になるということである。
それに対して今回見つかったこの虫は、メスに精子と一緒に栄養の入った何かを一緒に渡しており、そのお陰でメスの体力的なリスクが補われている。逆に言うと、オスが体力的なリスクを肩代わりしている、ということである。
この記事を読んで、胸がすくような思いがした。
「オス」「メス」「生殖」と聞いてハレンチな想像をするほど、僕は下品な男ではない。僕はこの虫のオスが選んだ紳士的な生き様に感動したのである。まるで僕のようではないか。
そもそも体力的なリスクを負うということは、生存競争の厳しい自然界では非常に危険なことだ。多くの種のオスが少しでも多くのメスとの間に子孫を作ろうとする中、この虫のオスはパートナーのために自らの身を捧げることを選んだのである。
もしかしたらそれは単に種全体を通してオスの個体数が多く、オス単体の希少価値が低いというからかもしれない。自然はいつでも合理的だ。それを冷徹と見ることも、情緒を旨とする人間であるから、仕方がないのかもしれない。
しかし自らのリスクを受け入れ、パートナーの生存率を上げることは、まごうこと無き愛である。僕もこの虫と同じく愛に生きるひとりの紳士として、自分のパートナーに何か差し出せるものが無いか考えてみた。
彼女様「買い物疲れた。袋持て。」
僕「はい」
彼女様「お腹すいた。お菓子とって。」
僕「はい」
彼女様「あ、あたしの大河(チワワ/オス/白い)がウンコした。取っといて。」
僕「はい」
彼女様「喉乾いた。コーヒー飲みたい。」
僕「はい」
彼女様「このコーヒーマズい。あとあげる。」
僕「はい」
何も無い。
この紳士な虫の元記事はこちら。