元来音楽の制作や演奏を生業とするミュージシャンにとって、乗り越えるべき大きな壁がある。それは、「面白いかどうか」だ。
ライブハウスやバーの客席にいると、よくお客さんが
「曲はまぁまぁよかったんだけど、トークがイマイチだったよなぁ。」
なんてことを言っているところを見かけることがある。とんでもない話しである。相手はミュージシャンであって、漫談家ではないのだ。
面白く話すということは、大変な準備とセンスが求められるひとつの技術である。それはそもそも、音楽の演奏とは全く異なるベクトルを持つパフォーマンスだ。それを主たる題目である音楽と並列に評価されるのだから、たまったものではない。ちょうど、車を運転しながら
「空を飛ばない」
と文句を言うようなものだ。脳の安否が気遣われる。それとこれは、別件なんである。
ところが、そのような正論は現場では通用しない。トークがつまらないミュージシャンはトークがつまらないミュージシャンというレッテルを張られ、冒頭で述べたようなちょっとそれ何かちゃうんですけど的評価を下される。
これはつまり、ミュージシャンだから音楽だけをやっておけばいい、ということではない。『私個人全てが作品です』くらいの気概でもって事に挑むべきである、ということだ。
そしてこれ、世の中のあらゆる物事にも当てはまる。
仕事が早くても暗くて人の悪口ばかりをボソボソ喋るような陰気な奴とは働きたくない。
口を開けば頭が痛い膝が痛いと訴える老人と付き合うのは辛い。
どんなに好きでも嘘を付くような人とは付き合っていられない。
世の中は色々な仕分けがされていて、色々な物事があるように見えるが、その本質はひとつである。我々はどのような役割りを担っていようとも、個人として、ひとりの人間としてどうか、ということを、常に問いかけておかなければならない。
このことに気付いた僕は一時期、ライブハウスに至るまでの道中で見かけた色々なものをメモにとり、それを発端に連想を広げてトークのネタを作るという作業をしていた。
僕はミュージシャンであるが、それと同時に言葉を発する人間である。これを前向きに受け入れたのである。そうして出来たネタ帳を譜面台の端に置きライブに挑んだところ、ステージを降りた後珍しく会場に来ていた彼女様に
「なんか顔つきが気に食わんかった」
と言われた。たまにはもう少し優しい言葉も掛けてほしいと訴えようとしたが、車に空を飛べと要求することと同じような気がして、飲み込んだ。
これくらいの覚悟でライブに挑んだ方がいいのだろうか。
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