わが愛しのAm P.58:アイアンとこーちゃん(2018/10/02)

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アイアンの放物線

僕が小学校5年生の時、ひとつ上の学年にアイアンというあだ名の女子がいた。そんなあだ名がついちゃうくらいだから、まあ逞しくってちょっと乱暴な女の子だったのだけど、なんとなく周囲がそれを求めるからそのように振舞っているような、どこか哀愁を感じさせる人だった。

そのアイアンが相変わらずクラスの男子に焚きつけられて、グラウンドからピンポン玉くらいの大きさの石ころを、学校の隣りを流れる川に向かって放り投げていた。いい球投げられちゃうもんだから、石ころは美しい放物線を描いてフェンスを越え、あっという間に視界から消えていった。

襲われるこーちゃん

しばらくして、2つ歳下の学年のりょーたが大慌てで校門にとびこんできた。勢い職員室に駆け込んだと思ったら、あっという間に救急車が来て、誰かを積み込んで走り去っていった。次の休憩時間にりょーたを捕まえて「どしたの」と聞いてみた。

話はこうだった。りょーたは休憩時間中に蹴っ飛ばしたボールが川の方に行ってしまったので、クラスメイトのこーちゃんと一緒に探しに行っていた。ところが、ボールを探していると、どこからともなく飛来した石ころがこーちゃんの脳天を直撃。こーちゃんは「あがっ」といううめき声を上げたかと思うと、血を流してひっくり返ってしまったというのだ。

その後アイアンやこーちゃんがどうなったのかは分からないけれど、とりあえずアイアンは引き続きアイアンだったし、こーちゃんは翌年の秋の運動会で縦割りチーム「どすこい!こーちゃんず」のマスコットとして活躍していたから、なんかまあ、大丈夫だったんだろう。ともあれ奇妙な星の下に生まれる人間もいるものだと、僕はすっかり恐縮してしまったのだった。あと、アイアンに逆らうのもやめようと思った。
 
 
海辺で石を投げる少年の画像


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