わが愛しのAm P.98:自分との再会(2018/12/10)

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前回のあらすじ

神奈川の何もない新居でひとり、温水便座で暖を取りながら過ごしたのだ。

こんなはずじゃなかった日々

2度目の上京で、僕たち夫婦が住まう場所として選んだのは神奈川県の川崎市の山側だった。新百合ヶ丘という駅から住宅地に20分ほど歩いた小高い丘にあるアパートの一階である。2DKのその部屋には大きな吐き出しの窓と、9畳ほどのダイニングキッチンがあった。ここで僕の人生は上向きに変化していく予定だった。

ところが、実際はそうはいかなかった。いよいよ本格的に着手し始めたマーケティングの仕事が全く理解できなかったり、引き続きセックスレスだったり、新居がよくカビの生えるところだったので毎年カビのシーズンになると潔癖の妻が発狂したりと、問題は山積みだった。

どれにもこれにも苦心した。苦心して、解決策が見出せないまま、1年ほど過ぎた。僕の中での不自由感と閉塞感はピークに達しつつあって、そうなったら環境を変えたくなるのが今までのやり方である。僕は関西に戻りたいという気持ちが、そんなことをしても何も変わらないことを知りつつ、胸の中で膨らんでいくのをただ見つめていた。

脊椎と頭蓋の関係性を尊重して

転機が訪れたのは、2017年の9月だった。長野県の穂高養生園というところで、アレクサンダーテクニークなる謎の技術を用いた三白四日のワークショップがあるから一緒に行かないかと、会社のボスが声を掛けてくれたのだ。もともと身体の使い方にとても興味があった僕は二つ返事で話しに乗った。僕たちは社を挙げてバカみたいに忙しい中スケジュールをやりくりし、はるか南アルプスをのぞむ(っていうか入っていく)穂高の地に赴いたのだった。

ほぼ事前知識ゼロの状態で臨んだワークショップだったが、素晴らしかった。講師の2人はあらゆるアプローチを使って「脊椎と頭蓋骨の関係を尊重する」ということをくりかえした。三白四日の中で感情が爆発したり、それまで悩んでいた腰痛が大幅に改善されたり、不可解なことが沢山起こった。

そのワークショップのおかげで、人里に下りてきてからもいいことがいっぱいあった。中でも最大の収穫だったのは「ただ身体を動かすことがめちゃくちゃ楽しい」ということを思い出したことだ。足元に落ちているものをただ拾ったり、箸で食べ物を口に運んだり、ただ歩いているだけだったり息をしているだけだったり…

目的があってもなくてもいい。激しくてもゆるやかでもいい。体を動かすというその動作の中で僕の体内は、実にドラマティックでダイナミックな出来事が起こりまくっている。それらを感じながら生きることが、ただただ楽しかった。そして、道路の側溝を流れていく落ち葉を追いかけたり、河原で石を投げて遊んでいた幼少時代は、ただその行為を純粋に楽しんでいたことを、思い出したのだった。

パラダイムシフトはこうやって

その後の一年ほどで、僕の世界は劇的に変化した。今までぼんやりと不安や不満を感じていた時間が、ごっそりと体を動かすことに意識を向ける時間に変わったのだ。一日の中で楽しいと思える時間が増えた。自ずと、一日の中で思い悩む時間を作ることが、僕にとって誠実さの表現だったり、言い訳だったりしたことにも気付いた。

不意に、いやな気分を自分で作ることがある。しかしその時に、「体に意識を向ける」という選択肢が生まれた。選択肢がある。そんなもの存在するはずがないと、そうあることが当たり前で普通で常識なのだと思っていたところに、ぽっかりと大穴が空いたのだった。

僕はジムに通いはじめてみたり、食べ物を変えてみたり、オナ禁に取り組んでみたり、タスクシュート式のスケジュール管理を取り入れてみたり、思いついたアプローチを片っ端から試して回った。

それは、心から感動的な日々だった。新しい行動を通して、今まで知らなかった自分との出逢いがたくさんあった。ランニングマシンで淡々と走っている時に完全に自分の体の中の骨格が見えたり、瞑想中に本当に自分の体がひとつの筒になったような呼吸の姿勢を会得したり、真っ赤な龍が見えたり。フィジカル、メンタル、スピリチュアル、あらゆるステータスの感度が大幅に上昇するのを感じたのだった。

穂高養生園にある木と人ホールの写真

穂高養生園の「木と人ホール」で撮った写真。日差しも壁も床も天井も窓の外の風景も全部やわらかい、お気に入りの一枚。


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