モテないギタリスト。モテるギタリスト。モテ過ぎるギタリスト。

ギターを弾けることがモテる要因のひとつであるかのような記事が出回っている。
断言するが、これは偽りである。
ギターが弾ける僕が言うのだから間違いない。

そもそもギターが弾けるというのは、大きな視点で見るとひとつのツールを人よりも上手く扱える、というだけの話しである。
左官職人がコテを上手く使うとか、教師がチョークを上手く投げるとか、オタクがPCを凄まじいスピードでタイプできるとか、そういうことと本質的には変わらない。

ではどうしてオタクの高速ブラインドタッチはモテなくて、ギタリストが高速タッピングをプレイするとモテるのだろうか。
その答えは、オタクとギタリストという言葉の持つイメージにある。

オタクと聞いて、清潔感に満ち、太陽と風を愛し、静かな微笑みを湛えて気さくなジョークでその場を和ませる人物像を思い描く者はいない。
しかしギタリストと聞けば、HIDEやMIYAVIやTAKUYAといったイケメン達が思い浮かぶことが多いだろう。
どこか危険な雰囲気も、良いスパイスだ。
オタクからも危険な雰囲気は感じ取れるが、それはまた別種のものである。
言葉に紐付けられているパブリックイメージこそが、モテそうなイメージの根源なのだ。

話しをギタリストの枠内に戻そう。
ギタリストにも、モテる者とモテない者がいる。
僕などは産まれてから今日まで途方も無くモテ続けている。
あまりに眩し過ぎるため、周りの女性が目も合わせられず、声も掛けられず、一緒にいると不甲斐ない自分に腹が立ててイライラした表情を浮かべるほどだ。

どのギタリストも僕ほどはモテていない。
その証拠に、どのギタリストも女性と気さくに話しをしたりしている。
僕はモテ過ぎるが故に、それが叶わない。
僕個人の悩みは、そこにある。

ギターが弾けるだけでモテるということはない。
下手をしたら、上手くなればなるほどモテなくなる傾向さえある(歯でギターを弾いたら彼女が出来たという話しを聞いたことがない)。
重要なのは、ギターが弾けることではない。
どんな人間がギターを弾いているのか、という部分に尽きる。

この案件について、彼女様に問い合わせてみたことがある。

僕「という訳で、多少モテのレベルを落として女の子から声を掛けられるようにしたいんだけど、どうしたらいいだろう?」

彼女様「綾野剛に生まれ変わるまで待ってみたら?」

僕「できたら今世中に実現可能な案でお願いします。」

彼女様「腸とか出してみたら話し掛けられはすると思う。」

僕「できたら今世を引き換えにしないで済む案でお願いします。」

彼女様「覚悟が足りんのとちゃうか。」

僕「もみくちゃにされて、写真を取られて、スキャンダルに満ちた酒池肉林の人生を歩む覚悟なら、もう出来ている!」

彼女様「脳みそもみくちゃなんとちゃうか。ちょっとスライス写真撮ってきてもらえ。」

僕「僕は一体誰に相談をすればいいんだ・・・」

彼女様「少なくとも自分の彼女にする相談じゃない。」

モテるのは難しい。

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日々労苦。

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