ギターの弾き語りでちょっとムーディーな曲を演奏する時に、なんかこういい感じにポロポロと弦を爪弾きたくなるようなことってありますよね。
でもまだ弾き語りを始めたばかりだと、「指弾きでポロポロってどんなことしたらええねん」ってことで、最初のとっかかりも分かりません。僕も初心者の頃にすごく苦労しました。
そこでこの記事では、これからギターの弾き語りで弦をポロポロ爪弾く「アルペジオ」を覚えたい方のための、ファーストステップになるような内容をお伝えします。
■ この記事を読むとこうなります
・ギターを爪弾く(アルペジオ)ための基礎的なフォームを3つ知ることができる
・すると、毎日何を練習すればいいのか分かる
・だから、ギター上達のスピードが上がる
・さらに、レベルアップ後のアルペジオの発展のさせ方がちょっと分かる
◾️ 記事を書いている人の信頼性
古い動画で恐縮ですが、こんな感じの演奏ができる人です。
まずは3つのアルペジオのパターンを確認しましょう。その後で、それぞれのパターンを「こう使うといいよ」というところを解説していきます。
可能な方は、ぜひギターを構えて読み進めてくださいね。
弾き語りで使える指弾きアルペジオ3種
ということで、早速見ていきましょう。
パターン①:まさに「爪弾き」単音ポロポロ
多くの方がイメージする「ギターをポロポロと爪弾く」に一番近いのがこのパターンじゃないかしら。ムードの演出に最適です。
譜面にすると、こんな感じ。
◆譜面の読み方
※なんとなく読み方が分かる方はスルー推奨
この横線が6本ある譜面のことをTAB譜と言います。一番上の線が1弦、一番下の線が6弦を示しています。
各線の上に書かれた数字は、その弦の何フレットを押さえるのかを示しています。だから、下から2つ目の線に「3」と書いているところは、「5弦の3フレットを押さえる」という意味なのです。
さらに詳しく知りたい方はこちらの記事が分かりやすくまとまっているのでおすすめ。(※外部サイトにジャンプします)
五線譜よりシンプルでギター弾きに優しいからすき。
てなわけで、まずは音を鳴らしてみましょう。左手は「コードC」のフォーム固定でOKです。
このパターンをいい感じに演奏する時のコツは
- 一番最初に親指で鳴らす5弦3フレットの音をじっくり聴き続けること
- その音の上に他の音が積み上がっていくハーモニーを楽しむこと
です。不思議だけど、これを意識することでギターから出てくる音の質が上がります。マジだから、やってみて。
パターン②〜低音と和音でメリハリ&アクセント〜
パターン①と比べて、音の流れにメリハリと安定感が出るのが、このパターン②です。
まったりさせすぎたくない、リズム感は欲しい、でもジャカジャカは違う。そんな時に活躍します。
ではでは、譜面をご覧ください。
親指で弾く一番低い音が2回出てきますよね。低い音は、音楽に安定感をもたらしてくれます。
そして、そこに対して1、2弦を同時に鳴らす和音が、小節の2、4拍目に登場します。この高くて存在感のある和音が、低音と共存することで、お互いを引き立てるのですよ。
その結果、このパターンは安定感とアクセントを両立したメリハリのある演奏になるのです。
パターン③:派手でシンプル、和音多め
最後は和音から始まる派手なパターンです。弦を惜しげもなく鳴らすので、曲の盛り上げに一役買ってくれます。
実はパターン②の発展系なので、そちらが弾けた方はそんなに苦労せずにできるはず。気軽にチャレンジしてみてください。
3つのパターンの使い分けと応用
ここから先は楽曲のアレンジに片足を突っ込んでいきます。テキストでの解説になるので、「いやいや私なんかまだまだ」という方も、ぜひ読むだけ読んでいってください。いつか必ず、あなたも通る道ですから。
さて、ここまでで紹介してきた3種類のアルペジオのパターンは、組み合わせて使うことが大切です。どれかひとつだけで曲を演奏し切ろうとすると、変化のない退屈な伴奏になってしまうのです。
ご紹介した3つのパターンをどんな風に組み合わせると、どんな演出ができるのか。どんな雰囲気が欲しい時に、どんな組み合わせを使えばいいのか。簡単に解説していきます。
まったりムードが欲しい時/リスナーをグッと引き込みたい時
この場合、パターン①を中心にアレンジを考えます。
例えば、前奏から歌いはじめのAメロの伴奏をパターン①で通すと、音数が少ないので厳かな雰囲気や、小さな世界観の表現に役立ちます。
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前奏:パターン①
Aメロ:パターン①
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このアレンジを実践する時は、ぜひギターのボリュームをグッと絞ってみてください。人は、小さな音には耳を澄ませたくなる生き物です。あなたの出す音が小さければ小さいほど、リスナーはあなたの音に耳を傾けてくれるでしょう。
そしてもう一箇所。サビでパターン③を使った後、間奏でパターン①を使います。パターン③は音の量が多く、派手なので、その落差で一気にムードが切り替わります。
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サビ:パターン③
間奏:パターン①
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楽曲にアクセント感やビート感を強調したい時
日本のポピュラーミュージックにはAメロを2回繰り返す曲が結構あります。例えば、僕が大好きなサザンオールスターズの『いとしのエリー』の一番は、
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Aメロ
Aメロ
サビ
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という構成です。この時、1回目のAメロをパターン①で、2回目のAメロをパターン②で演奏すると、同じコード進行とメロディーに、パターン②の持つ「リズム」や「ビート」といった要素をプラスすることができます。
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Aメロ:パターン①
Aメロ:パターン②
サビ
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変化は、リスナーが飽きないためにとっても大切なエッセンスです。何より演奏している僕たち自身が、変化のないアレンジには飽きてしまうものね。
その他にも、楽曲を基本的にパターン②で組み立てて、トーンダウンしたい時はパターン①を、サビなどで盛り上げたい時にはパターン③を使うという手も有効です。ぜひ試してみて下さい。
インパクトや派手さを出す
前奏の冒頭やサビのような、インパクトのあるサウンドが欲しい時には、パターン③一択です。こういう派手なサウンドを活かすには、その手前が地味なら地味なほど効果的です。
だから例えば
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Aメロ:パターン②
Bメロ:パターン①
サビ:パターン③
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のように、一度Bメロでトーンを落とすと、派手さが際立って大変よろしい。
また、
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【一番】
Aメロ:パターン①
サビ:パターン②
【間奏】
パターン①
【二番】
Aメロ:パターン②
サビ:パターン③
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という風に組み立てると、曲全体が後半になるにつれて盛り上がる構造を作ることができます。
このように、今回紹介した3種類のアルペジオのパターンだけでも、組み合わせ次第で色々な展開を作ることができます。この辺のことは次のステップとして見据えておいて、まずはぜひ3種類のアルペジオをマスターしてみて下さい。
まとめ〜自由なアルペジオのために、まずはフォーマットを押さえよう〜
「指弾きでポロポロってどんなことしたらええねん」という方向けに、現在の課題を解決しつつ、次のステージもチラ見せするように記事を書いてきましたが、いかがでしたでしょうか。
ここまでパターンパターンと書いておいてちゃぶ台をひっくり返すようですが、実はアルペジオって、「こう弾かなきゃいけない」というルールなんかないんです。
僕自身も、今ライブハウスやバーで活躍しているミュージシャンたちも、思い思いのアルペジオを弾いています。それら全てを解説するのは不可能です。だって彼らは、自分の気持ちいい音に従って、その音を弾いているだけなのです。
あなたの中にも、あなたが気持ちいいと感じる音がきっとあります。それを自由に表現する日も、きっとやってきます。その日が1日でも早く来るように、今回の記事では初めの一歩の足掛かりとして、アルペジオのフォーマットをシェアしました。
まずは今回の3種類のアルペジオのパターンを、弾いて弾いて弾きまくって下さい。組み合わせまくって、時にはパターンを外れてみたり、弦をジャカジャカするのも取り入れてみたりして、遊びながらどんどん壊していって下さい。
あなたの中にある音が、あなたのギターから流れ出るその日が来るまで、大いに遊び続けましょう。引き返せないほど楽しいから、覚悟してね。
ではでは、また次回の記事でお会いしましょう。
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