春の高校選抜と飛来する少女を受け止める時の注意点。

今さっきまで高校野球の春の選抜試合を見ていた。和歌山県からは智弁和歌山高校と海南高校が出場していて、今日は海南高校と徳島の池田高校の試合であった。

内容は先に3点を先制した海南高校が8回裏に2点を追い上げられ、9回の裏にノーアウト満塁からのショートライナーがエラーになり、池田高校の劇的な逆転勝利と相成った。海南高校はエースが怪我で不在ということもあって、悔しい試合結果となった。夏の大会ではリベンジを期待している。

koshien

僕は小学校の頃に少年野球チームに入っていた。何故か入団を了承してくれなかった父を説得するのに1年掛かり、チームで野球ができたのは1年ちょっとという短い期間であった。

その間、僕は凄まじい勢いでコロコロと転がってくるボールをまたぐというパフォーマンスを披露したり、セカンドからファーストという長距離間のボールパスを絶妙な配給によりファーストのなおや君のキャッチング技術の研摩に協力したり、大変なスピードで飛んでくるボールが身体に当たったらめっちゃ痛いからという危機管理能力を活用して監督からのバントの指示を無視したりしていた。

中でも僕が秀逸な能力を発揮したのが、フライのキャッチである。僕のいたチームでは、レフトに選手を配置して監督が打ち上げるボールを順々にキャッチ。それをホームベース側にいるだいすけくんにバックホーム投球をする、という練習があった。

僕はこの練習で、まともにボールをキャッチできたことがほとんどなかった。打ち上がったボールがどこに落ちてくるかが、全く分からなかったのである。おそらく、ボールをキャッチしたいという俗世的な欲求の無い美少年であったのだろう。打ち上がるボールと落ちてくるボールの軌跡とその事実を、静かに受け入れていたのである。

僕がフライのキャッチという行動を起こす瞬間に涅槃の域に達するという事実が分かったが、そうすると万が一空から美少女がフワフワと降りてきた時に、彼女を無事にキャッチできるかどうか、という問題が生まれる。キャッチしたい、という欲求が無いため、落下物の軌跡が予測できない。

「あー女の子降りてきた。あー」

と言いながら走り回っているうちに

「あー女の子いっちゃう。あー」

などという状況に事が進展してしまう恐れがある。もし「彼女はボールではない。よって彼女をキャッチしたい。」という判断が下された場合などは落下地点に先回りすることくらいは出来るかもしれないが、そうすると今度はまた別の問題が発生する。

少し考えれば分かることであるが、例えば女の子の落下フォームが某ジブリ映画の美少女の登場シーンと同じであったと仮定すると、彼女をキャッチする位置からは、彼女の顔が胸の前に降りてくるまで確認できないのだ。降りてくる女の子を受け止めるために出した手が、「女の子の顔が好みでなかった」「女の子だと思っていたら大佐だった」「女の子だと思っていたら紅の豚だった」などといった理由のために引き戻される可能性があるから、油断ならない。

ということで、海南高校には夏の大会で、是非熱いリベンジを見せて頂きたい。