ひとりしりとり「コロラドブルドッグ」

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僕が始めて好きになった洋楽はMR.BIGというロックバンドである。彼らのことについては音楽ファンであれば説明は必要無いが、念のため。

Mr.BIGはビリー・シーン、ポール・ギルバート、エリック・マーティン、パット・トーピーという名だたるメンバーで結成された超絶技巧王道バンドで、1989年にアルバム「MR.BIG」でデビューした。武道館ライブや大阪でのカウントダウンライブに参加するなど、日本にも多くのファンが居て、ポップで硬派な楽曲が代名詞である。

1996年のアルバム『Hey Man』の中に収録されている「Goin’ Where The Wind Blows 」という楽曲のレコーディングがビリー抜きで行われ、バンド内の人間関係が悪化。同年中に活動休止宣言があり、1999年の再会直前にポールが脱退。新たなギタリストにリッチー・コッツェンを迎えるも、2000年にリリースされたバラードベストである『Deep Cuts』の中でビリーのベースソロが本人に無断でカットされていたり、上述の「Goin’ Where The Wind Blows 」が収録されたことが原因で怒り心頭。結局協議の結果、2002年のツアーを最後に解散することとなった。

ちなみにこの最終ツアーの千秋楽は日本の東京国際フォーラムで、彼らがどれだけ日本を贔屓にしていたかが伺える。

Mr+Big

というwiki情報はここまでにして。

僕が彼らの曲を始めて聴いたのは、大阪で学生をしていた時のこと。同級生が「俺のマイフェイバリット」という斬新な英語の活用方法を見せつつ聴かせてくれたのが、彼らが1993年に発表したアルバム『Bump Ahead』だった。そしてこのアルバムの1曲目に収録されていたのが、今回のお題である「Colorado Bulldog」である。

この曲は全編に渡って美味しいところだらけなのだけど、やはり聴きどころは楽曲冒頭の超人的なユニゾンセッションで、何度聴いても何をしているのかよく分からない。メンバーは「このパートはみんなで息を合わせてプレイしたんだ。」というコメントを残していて、息を合わせれば弾けるのかということで何を言っているのかもよく分からない。かと思うとライブでは普通にお客を煽りながら弾いていたりもして、つまるところ全面的によく分からないんである。

ともあれ、このよく分からないパートのある曲のお陰で僕は洋楽への扉を叩き、当時世話になっていた先輩の影響もあって、オールディーズからブルースロックというジャンルに惹かれていくことになる。ちなみに、ビートルズを聴くようになったのはこのずっと後で、ストーンズは通っていない。どうにも「聴かなければ」と身構えて聴く曲は、自分の中に入ってこないのだ。かと思えば、何年かして室内BGMをと適当にCDを流した時にドギュギューンと胸に刺さることもある。ハートがオープンでないと、音楽は楽しめないのだろう。

結局のところMR.BIG成分などまるで感じさせないJpopをこさえている弾き語りな僕であるけれど、彼らの音楽に対する異常なほどのストイックさは、ひとつの大きな指針となっている。2009年にオリジナルメンバーで再結成され、2010年の『what if …』以降大きな動きを見せていない彼らの次のアクションが、楽しみでならない。

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