ストリートライブを始めることにした。昨日大学を卒業して帰ってくる弟ぷぅちゃんのお迎えがてら、ギターを愛車ジムニーたんにライドンさせて、和歌山駅まで出かけたのである。
東口の駐車場にジムニーたんを放り込み、連絡通路を抜けて駅の正面に出ると、ちょうど近鉄百貨店と駅出口の間あたりでギターを置いて準備運動をしている方が居た。服装や佇まいから、経験長い方であることが分かる(僕ぐらいの観察力があると、「眼鏡を掛けている人は目が悪い」「ズボンを履いている人は高い確立でパンツも履いている」「準備運動をしている人は何かの準備中である」といったことが分かる。)。
僕「今からですか?」
兄さん「はい」
僕「見てていいですか?和歌山に帰ってきたばかりで、この辺りの音楽シーンがよく分からなくて。」
兄さん「あぁ、いいですよ。どうぞどうぞ。」
ということで、和歌山県を中心に活動されているシンガーソングライターの藪下将人さんとお知り合いになった。
この方。
藪下さんは熟練のストリートミュージシャンといった立ち回りで、優しさと芯のある楽曲と裏腹にとてもアグレッシブなメンタルでもってストリートライブをしていらっしゃった。とても通りの良い声で、よくいるストリートパフォーマーに見られるいっぱいいっぱい感の無い落ち着いたショウである。肩から下げていたギブソンハミングバードのピックガードが反り返ってトゲトゲしていたのが、なんだか怖かった。
聞けば藪下さんは、駅の隣の近鉄百貨店で曲が流れたり、マリーナシティという和歌山のテーマパークで大きなステージをしたり、ということをしているプロの方であった。和歌山で最初の音楽仲間がそういった方であったのは、非常に幸運なことである。
その後、藪下さんのステージと入れ替わりに僕も3曲ほど演奏して、昨日の夜はお開きとなった。やはり、行動には何らかのレスポンスが伴うものである。そして、前向きな行動に対するレスポンスは、いずれも自分にとって好ましいものばかりだ。電車から降りてきたぷぅちゃんに、お兄ちゃんとしてこのことを教えてあげなければならないと思い、ジムニーたんを発進させながら話し掛けた。
僕「前向きな行動には好ましいレスポンスが返ってくるんだよ。」
ぷぅちゃん「ちょっと眠いから寝ていいかな。」
僕「あ、ごめんなさい。」
前向きな行動に好ましいレスポンスが返ってこないこともある。