映画好きが楽しそうに語る映画話しを聞くのが好きだ。何を見てどう感じどう解釈し、だからこう思うという講釈を聞いていると、世界はかくもイマジネーションに満ちているのかとワクワクしてくる。
繰り返し話しを聞いているた、僕の中で「映画を楽しむ技術」が育っていく。僕自身の映画人生も豊かになっていくのだ。こんな嬉しいことはない。
酒好きが楽しそうに語る酒話しを聞くのが好きだ。ウンチクだけでなく、その酒との思い出も合わせて話してくれるとなおよろしい。その人と酒の思い出が、味わい深い映画のように感じられる。
繰り返し聞いていると、僕の中で「酒を楽しむ技術」が育っていく。僕自身の酒人生も豊かになっていくのだ。こんな嬉しいことはない。
旅好きが楽しそうに語る旅話しを聞くのが好きだ。人や土地や歴史や文化との出会いを、旅情心象交えて語ってもらえたら、一緒に旅をしているような気分になってくる。
繰り返し聞いていると、僕の中で「旅を楽しむ技術」が育っていく。僕自身の旅人生も豊かになっていくのだ。こんな嬉しいことはない。
「好きなことを愛を持って語る」というのは、聞き手に大きなギフトをプレゼントするということだ。ていねいに手間暇をかけて、自分の世界にご招待するということだ。
好きなことを語る時、人は魅力的になる。口下手なら書けばいい。書くのが嫌なら語ればいい。形はどうでもいい。心から好きなことをどんどん語ってほしいと思う。
心から好きなものを語ってもらえると、僕はあなたと、あなたの好きなものと、僕自身の人生をもっと好きになれる。好きなものが多い人生は素敵な人生だ。だから僕は、僕が素敵な人生をおくりたいから、あなたの話しを聞く用意をしているのだ。
それはいつか僕の好きなものになって、誰かに語られる。相手はもしかするとあなたかもしれないし、僕の息子かもしれないし、別の誰かかもしれない。
僕があなたのことを語った相手は、それをまた他の誰かに語るだろう。話しには尾ひれはひれが付いて、あるいはあなたが一番面白いと思っているところが抜け落ちたりして、きっと想像もできないような形で、今日いまこの瞬間に全く別の人生を送っている誰かの心に刺さるのだ。
好きなものを語る準備をしておいてほしい。いつか僕と出会って語ってほしい。僕はあなたの話しが聞きたい。あなたが好きなものに取り組むことの共犯者になりたい。あなたのことを誰かに語りたい。
そうすることで、少なくとも僕の人生における幸せの総量が増える。あなたにとってもそうだったら、すごく嬉しい。